September 7, 2023 Vol. 389 No. 10
進行胞巣状軟部肉腫に対するアテゾリズマブ
Atezolizumab for Advanced Alveolar Soft Part Sarcoma
A.P. Chen and Others
胞巣状軟部肉腫(ASPS)は,予後不良のまれな軟部肉腫であり,確立された治療法はない.最近,免疫チェックポイント阻害薬の有望な反応が報告されている.
進行 ASPS の成人患者と小児患者を対象として,抗プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)抗体薬アテゾリズマブ(atezolizumab)の研究者主導多施設共同単群第 2 相試験を行った.アテゾリズマブを 1,200 mg(18 歳以上の患者),または 1,200 mg を上限として 15 mg/kg 体重(18 歳未満の患者)の用量で,21 日ごとに静脈内投与した.試験のエンドポイントは,固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 に基づく客観的奏効,奏効期間,無増悪生存のほか,多段階の薬物作用の薬力学的バイオマーカーなどとした.
52 例が評価された.客観的奏効は 52 例中 19 例(37%)に認められ,内訳は完全奏効 1 例,部分奏効 18 例であった.奏効までの期間の中央値は 3.6 ヵ月(範囲 2.1~19.1),奏効期間の中央値は 24.7 ヵ月(範囲 4.1~55.8),無増悪生存期間の中央値は 20.8 ヵ月であった.7 例が 2 年間投与を受けたあとに休薬し,データカットオフ日まで奏効が維持された.グレード 4 または 5 の治療関連有害事象は記録されなかった.ベースライン時のプログラム細胞死 1 (PD-1)と PD-L1 の発現状況に差があったにもかかわらず,奏効が認められた.
アテゾリズマブは,進行 ASPS 患者の約 1/3 に持続的奏効をもたらすのに有効であった.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03141684)