The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 7, 2023 Vol. 389 No. 10

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

進行胞巣状軟部肉腫に対するアテゾリズマブ
Atezolizumab for Advanced Alveolar Soft Part Sarcoma

A.P. Chen and Others

背景

胞巣状軟部肉腫(ASPS)は,予後不良のまれな軟部肉腫であり,確立された治療法はない.最近,免疫チェックポイント阻害薬の有望な反応が報告されている.

方 法

進行 ASPS の成人患者と小児患者を対象として,抗プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)抗体薬アテゾリズマブ(atezolizumab)の研究者主導多施設共同単群第 2 相試験を行った.アテゾリズマブを 1,200 mg(18 歳以上の患者),または 1,200 mg を上限として 15 mg/kg 体重(18 歳未満の患者)の用量で,21 日ごとに静脈内投与した.試験のエンドポイントは,固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 に基づく客観的奏効,奏効期間,無増悪生存のほか,多段階の薬物作用の薬力学的バイオマーカーなどとした.

結 果

52 例が評価された.客観的奏効は 52 例中 19 例(37%)に認められ,内訳は完全奏効 1 例,部分奏効 18 例であった.奏効までの期間の中央値は 3.6 ヵ月(範囲 2.1~19.1),奏効期間の中央値は 24.7 ヵ月(範囲 4.1~55.8),無増悪生存期間の中央値は 20.8 ヵ月であった.7 例が 2 年間投与を受けたあとに休薬し,データカットオフ日まで奏効が維持された.グレード 4 または 5 の治療関連有害事象は記録されなかった.ベースライン時のプログラム細胞死 1 (PD-1)と PD-L1 の発現状況に差があったにもかかわらず,奏効が認められた.

結 論

アテゾリズマブは,進行 ASPS 患者の約 1/3 に持続的奏効をもたらすのに有効であった.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03141684)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 911 - 21. )