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September 14, 2023 Vol. 389 No. 11

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グレード III,IV,V の膀胱尿管逆流症の乳児に対する予防的抗菌薬投与
Antibiotic Prophylaxis in Infants with Grade III, IV, or V Vesicoureteral Reflux

W. Morello and Others

背景

グレード III,IV,V の膀胱尿管逆流症を有する乳児に対する,尿路感染症(UTI)予防のための予防的抗菌薬持続投与の有効性には議論がある.

方 法

欧州の 39 施設で行われた研究者主導無作為化非盲検試験で,グレード III,IV,V いずれかの膀胱尿管逆流症を有する,UTI の既往のない生後 1~5 ヵ月の乳児を,予防的抗菌薬持続投与を 24 ヵ月間行う群(予防投与群)と,投与を行わない群(無投与群)に無作為に割り付けた.主要転帰は試験期間中の UTI の初回発生とした.副次的転帰は,腎瘢痕の新規発生,24 ヵ月の時点での推算糸球体濾過量(GFR)などとした.

結 果

292 例が無作為化された(各群 146 例).参加者の約 75%は男性であり,月齢中央値は 3 ヵ月,235 例(80.5%)はグレード IV または V の膀胱尿管逆流症であった.intention-to-treat 解析では,初回 UTI は予防投与群では 31 例(21.2%),無投与群では 52 例(35.6%)に発生し(ハザード比 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.35~0.86,P=0.008),UTI を 1 件予防するための 2 年間の治療必要数は 7 例(95% CI 4~29)であった.無投与群の 64.4%では,試験期間中に UTI は発生しなかった.腎瘢痕の新規発生と,24 ヵ月の時点での推算 GFR に 2 群間で大きな差はなかった.予防投与群の参加者から得られた UTI 分離株は,無投与群の参加者から得られた UTI 分離株よりも,シュードモナス属,大腸菌以外のその他の微生物,抗菌薬耐性の頻度が高かった.重篤な有害事象は 2 群で同程度であった.

結 論

グレード III,IV,V いずれかの膀胱尿管逆流症を有する,UTI の既往のない乳児において,予防的抗菌薬持続投与は,大腸菌以外の微生物の出現と抗菌薬耐性を増加させたものの,UTI の初回発生の予防に小さいながらも有意な利益をもたらした.(イタリア保健省ほかから研究助成を受けた.PREDICT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02021006,EudraCT 登録番号 2013-000309-21)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 987 - 97. )