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January 11, 2024 Vol. 390 No. 2

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無症候性心房細動における脳卒中の予防を目的としたアピキサバン
Apixaban for Stroke Prevention in Subclinical Atrial Fibrillation

J.S. Healey and Others

背景

無症候性心房細動は持続時間が短く無症状であり,通常はペースメーカーや除細動器による長期の持続モニタリングでのみ検出される.無症候性心房細動は脳梗塞のリスクが 2.5 倍になることと関連するが,経口抗凝固薬治療の利益は明らかでない.

方 法

無症候性心房細動の持続時間が 6 分~24 時間の患者を対象に試験を行った.患者を,アピキサバン 5 mg を 1 日 2 回(必要に応じて 2.5 mg を 1 日 2 回)投与する群と,アスピリン 81 mg を 1 日 1 回投与する群に無作為に割り付け,ダブルダミー法による二重盲検下で投与した.無症候性心房細動が 24 時間を超えて持続する,または症候性となった場合には試験薬を中止し,抗凝固薬を開始した.主要有効性転帰は脳卒中と全身性塞栓症とし,intention-to-treat 集団(無作為化された全例)で評価した.主要安全性転帰は大出血とし,on-treatment 集団(無作為化され,割り付けられた試験薬の投与を 1 回以上受けた全例.なんらかの理由で試験薬が永久的に中止となった場合は 5 日後に追跡打ち切り)で評価した.

結 果

無作為化された 4,012 例の平均(±SD)年齢は 76.8±7.6 歳,平均 CHA2DS2-VASc スコア(0~9 で,数値が高いほど脳卒中のリスクが高いことを示す)は 3.9±1.1,36.1%が女性であった.平均追跡期間 3.5±1.8 年の時点で,脳卒中または全身性塞栓症は,アピキサバン群では 55 例(0.78%/患者年),アスピリン群では 86 例(1.24%/患者年)に発生していた(ハザード比 0.63,95%信頼区間 [CI] 0.45~0.88,P=0.007).on-treatment 集団では,大出血の発生率はアピキサバン群 1.71%/患者年,アスピリン群 0.94%/患者年であった(ハザード比 1.80,95% CI 1.26~2.57,P=0.001).致死的出血は,アピキサバン群の 5 例とアスピリン群の 8 例に発生した.

結 論

無症候性心房細動患者では,アピキサバンによって脳卒中または全身性塞栓症のリスクがアスピリンよりも低くなったが,大出血のリスクは高くなった.(カナダ保健研究機構ほかから研究助成を受けた.ARTESIA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01938248)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 107 - 17. )