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April 4, 2024 Vol. 390 No. 13

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センチネルリンパ節転移陽性乳癌における腋窩リンパ節郭清省略
Omitting Axillary Dissection in Breast Cancer with Sentinel-Node Metastases

J. de Boniface and Others

背景

臨床的リンパ節転移陰性乳癌で,センチネルリンパ節転移を認める患者における完全腋窩リンパ節郭清省略を検討する試験は,統計的検出力が不十分,リンパ節に対する放射線療法の標的体積が不明,臨床的に重要なサブグループのデータの不足により,信頼性が十分ではなかった.

方 法

非劣性試験を行い,臨床的リンパ節転移陰性,原発性 T1~T3 乳癌(腫瘍の最大径が T1 は 20 mm 以下,T2 は 21~50 mm,T3 は 50 mm 超)で,センチネルリンパ節に肉眼的転移(転移巣の最大径が 2 mm 超)を 1 個または 2 個有する患者を,完全腋窩リンパ節郭清を行う群と,これを省略する(センチネルリンパ節生検単独)群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.術後補助療法と放射線療法は,各国のガイドラインに従って行った.主要エンドポイントは全生存とした.今回は,事前に規定した副次的エンドポイントの 1 つである,無再発生存の per-protocol 解析と修正 intention-to-treat 解析の結果を報告する.センチネルリンパ節生検単独の非劣性は,再発または死亡のハザード比の信頼区間の上限が 1.44 未満である場合に示されることとした.

結 果

2015 年 1 月~2021 年 12 月に,5 ヵ国で 2,766 例が組み入れられた.per-protocol 集団は 2,540 例で,内訳はセンチネルリンパ節生検のみを行う群 1,335 例,完全腋窩リンパ節郭清を行う群(郭清群)1,205 例であった.所属リンパ節領域を含む標的体積に対する放射線療法は,センチネルリンパ節生検単独群の 1,326 例中 1,192 例(89.9%)と,郭清群の 1,197 例中 1,058 例(88.4%)に行われた.追跡期間中央値は 46.8 ヵ月(範囲 1.5~94.5)であった.全体で 191 例が再発または死亡した.5 年無再発生存率の推定値は,センチネルリンパ節生検単独群で 89.7%(95%信頼区間 [CI] 87.5~91.9),郭清群で 88.7%(95% CI 86.3~91.1)であり,国を補正した再発または死亡のハザード比は 0.89(95% CI 0.66~1.19)であり,事前に規定した非劣性マージンを有意に下回った(P<0.001).

結 論

臨床的リンパ節転移陰性乳癌で,センチネルリンパ節に肉眼的転移を認める患者において,完全腋窩リンパ節郭清省略は,完全腋窩リンパ節郭清に対する非劣性を示した.患者の大部分はリンパ節に対する放射線療法を受けた.(スウェーデン研究評議会ほかから研究助成を受けた.SENOMAC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02240472)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1163 - 75. )