The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 18, 2024 Vol. 390 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

左室駆出率の保たれた心筋梗塞後のβ遮断薬
Beta-Blockers after Myocardial Infarction and Preserved Ejection Fraction

T. Yndigegn and Others

背景

心筋梗塞後のβ遮断薬投与の利益を示した試験の大部分は,梗塞サイズの大きい患者を対象とし,現在のように心筋梗塞をバイオマーカーで診断し,経皮的冠動脈インターベンション,抗血栓薬,高強度スタチン,レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系拮抗薬で治療する時代より前に行われた.

方 法

スウェーデン,エストニア,ニュージーランドの 45 施設で行われた並行群間非盲検試験で,冠動脈造影を受け,左室駆出率 50%以上の急性心筋梗塞患者を,β遮断薬(メトプロロールまたはビソプロロール)の長期投与を行う群と,行わない群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,全死因死亡および新規心筋梗塞の複合とした.

結 果

2017 年 9 月~2023 年 5 月に 5,020 例(95.4%がスウェーデン人)が登録された.追跡期間の中央値は 3.5 年(四分位範囲 2.2~4.7)であった.主要エンドポイントのイベントは,β遮断薬群 2,508 例中 199 例(7.9%),β遮断薬非投与群 2,512 例中 208 例(8.3%)に発生した(ハザード比 0.96,95%信頼区間 0.79~1.16,P=0.64).β遮断薬投与は,副次的エンドポイントの累積発生率を低下させないと思われた(全死因死亡:β遮断薬群 3.9%とβ遮断薬非投与群 4.1%,心血管系の原因による死亡:それぞれ 1.5%と 1.3%,心筋梗塞:4.5%と 4.7%,心房細動による入院:1.1%と 1.4%,心不全による入院:0.8%と 0.9%).安全性エンドポイントについては,徐脈,第 2 度または第 3 度の房室ブロック,血圧低下,失神,ペースメーカー植込みのいずれかによる入院がβ遮断薬群の 3.4%,β遮断薬非投与群の 3.2%に発生し,喘息または慢性閉塞性肺疾患による入院がそれぞれ 0.6%と 0.6%,脳卒中による入院が 1.4%と 1.8%に発生した.

結 論

早期に冠動脈造影を受け,左室駆出率の保たれた(50%以上)急性心筋梗塞患者において,β遮断薬の長期投与は,投与しなかった場合と比較して,複合主要エンドポイントである全死因死亡および新規心筋梗塞のリスクを低下させなかった.(スウェーデン研究評議会ほかから研究助成を受けた.REDUCE-AMI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03278509)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1372 - 81. )