切除可能肺癌に対する周術期ニボルマブ投与
Perioperative Nivolumab in Resectable Lung Cancer
T. Cascone and Others
切除可能非小細胞肺癌(NSCLC)患者において,術前にニボルマブと化学療法を併用する標準治療は,転帰を有意に改善する.ニボルマブを周術期治療(すなわち,術前補助療法と,手術を経ての術後補助療法)に用いることで,臨床転帰をさらに改善する可能性がある.
第 3 相無作為化二重盲検試験で,切除可能な IIA~IIIB 期 NSCLC を有する成人を,術前にニボルマブ+化学療法を 3 週ごとに 4 サイクル行い,その後手術を行い,術後にニボルマブを 4 週ごとに 1 年間投与する群と,術前に化学療法+プラセボ,その後手術,術後にプラセボを投与する群に割り付けた.主要転帰は,盲検下独立判定による無イベント生存とした.副次的転帰は,盲検下独立判定による病理学的完全奏効と病理学的著効,全生存,安全性とした.
事前に規定した中間解析の時点(追跡期間中央値 25.4 ヵ月)で,18 ヵ月無イベント生存率は,ニボルマブ群 70.2%,化学療法群 50.0%であった(病勢進行または再発,手術中止,死亡のハザード比 0.58,97.36%信頼区間 [CI] 0.42~0.81,P<0.001).病理学的完全奏効は,ニボルマブ群の 25.3%と化学療法群の 4.7%で得られ(オッズ比 6.64,95% CI 3.40~12.97),病理学的著効はそれぞれ 35.4%と 12.1%で得られた(オッズ比 4.01,95% CI 2.48~6.49).グレード 3 または 4 の治療関連有害事象は,ニボルマブ群の 32.5%と,化学療法群の 25.2%に発現した.
切除可能 NSCLC 患者において,ニボルマブを用いた周術期治療により,化学療法単独と比較して無イベント生存期間が有意に長くなった.新たな安全性シグナルは認められなかった.(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社から研究助成を受けた.CheckMate 77T 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04025879)