再発びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に対する標的療法の併用
Combination Targeted Therapy in Relapsed Diffuse Large B-Cell Lymphoma
C. Melani and Others
びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(DLBCL)における発癌性変異の同定は,主要な生存経路を標的とする薬剤の開発につながったが,複数の生存経路を標的とすることが DLBCL の治癒につながるかは明らかにされていない.
再発または難治性の DLBCL に対する,ベネトクラクス,イブルチニブ,プレドニゾン(prednisone),オビヌツズマブ,レナリドミド(ViPOR)から成るレジメンの単一施設第 1b・2 相試験を行った.第 1b 相には,DLBCL 患者と低悪性度リンパ腫患者を組み入れ,ベネトクラクスの第 2 相での推奨用量を決定するために 4 用量を評価した.ほかの 4 剤は固定用量で投与した.第 2 相拡大パートは,胚中心 B 細胞型(GCB)DLBCL 患者と非 GCB DLBCL 患者を対象とした.ViPOR 療法は,21 日を 1 サイクルとして 6 サイクル行った.
20 例(DLBCL 10 例)を組み入れた第 1b 相で,用量制限毒性であるグレード 3 の頭蓋内出血が 1 件発生し,ベネトクラクスの第 2 相での推奨用量は 800 mg となった.第 2 相には DLBCL 患者 40 例を組み入れた.患者全例に認められた毒性は,グレード 3 または 4 の好中球減少症(全サイクルの 24%),血小板減少症(23%),貧血(7%),発熱性好中球減少症(1%)などであった.評価しえた DLBCL 患者 48 例において,客観的奏効割合は 54%,完全奏効割合は 38%であった.完全奏効は,非 GCB DLBCL 患者と,MYC と BCL2,BCL6 のいずれかまたは両方の再構成を有する高悪性度 B 細胞リンパ腫患者のみに認められた.ViPOR 療法終了時に,患者の 33%で循環血中腫瘍 DNA は検出されなかった.追跡期間中央値 40 ヵ月の時点で,2 年無増悪生存率は 34%(95%信頼区間 [CI] 21~47),2 年全生存率は 36%(95% CI 23~49)であった.
DLBCL の特定の分子サブタイプの患者において,ViPOR 療法は寛解の持続と関連し,主に可逆的な有害事象と関連した.(米国国立がん研究所 所内研究プログラム,米国国立衛生研究所 国立先進トランスレーショナル科学センターほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03223610)