好酸球性食道炎に対するベンラリズマブによる好酸球除去
Eosinophil Depletion with Benralizumab for Eosinophilic Esophagitis
M.E. Rothenberg and Others
ベンラリズマブは,好酸球の除去作用を有する抗インターロイキン-5 受容体αモノクローナル抗体である.好酸球性食道炎患者におけるベンラリズマブの有効性と安全性は明らかにされていない.
第 3 相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験において,12~65 歳の,症状を伴う組織学的に活動性の好酸球性食道炎患者を,ベンラリズマブ(30 mg)を 4 週ごとに皮下投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.主要有効性エンドポイントは,24 週の時点での組織学的奏効(好酸球が高倍率視野あたり 6 個以下)と,嚥下障害症状質問票(DSQ)のスコア(0~84 で,数値が高いほど嚥下障害が高頻度または重度であることを示す)のベースラインからの変化量の 2 つとした.
211 例が無作為化され,104 例がベンラリズマブ群,107 例がプラセボ群に割り付けられた.24 週の時点での組織学的奏効割合は,ベンラリズマブ群のほうがプラセボ群よりも高かった(87.4% 対 6.5%,差 80.8 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 72.9~88.8,P<0.001).しかし,DSQ スコアのベースラインからの変化量に群間で有意差は認められなかった(最小二乗平均差 3.0 ポイント,95% CI -1.4~7.4,P=0.18).好酸球性食道炎内視鏡基準スコア(EoE-EREFS;内視鏡所見の重症度を示す)のベースラインからの変化量には,群間で大きな差はなかった.有害事象は,ベンラリズマブ群の 64.1%,プラセボ群の 61.7%で報告された.有害事象のために試験を中止した患者はいなかった.
12~65 歳の好酸球性食道炎患者を対象とした試験で,組織学的奏効(好酸球が高倍率視野あたり 6 個以下)割合は,ベンラリズマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった.しかし,ベンラリズマブによって,嚥下障害の症状の頻度と重症度がプラセボよりも低くなることはなかった.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.MESSINA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04543409)