中等症~重症のクローン病に対するリサンキズマブとウステキヌマブとの比較
Risankizumab versus Ustekinumab for Moderate-to-Severe Crohn’s Disease
L. Peyrin-Biroulet and Others
クローン病患者におけるリサンキズマブの,ウステキヌマブと比較した有効性と安全性は明らかにされていない.
エンドポイントを盲検下で評価する第 3b 相多施設共同非盲検無作為化比較試験で,抗腫瘍壊死因子(TNF)療法では十分な効果が得られなかったか,許容できない副作用が発現した中等症~重症のクローン病患者を,リサンキズマブ群とウステキヌマブ群に無作為に割り付け,標準用量で 48 週間投与した.主要エンドポイントの 1 つ目は,24 週の時点での臨床的寛解(クローン病活動指数 [CDAI;0~600 で,数値が高いほど疾患活動性が重度であることを示す] が 150 未満と定義)とし,24 週時の受診を完了した患者の最初の 50%を対象に,非劣性マージンを 10 パーセントポイントとして解析した.2 つ目は,48 週の時点での内視鏡的寛解(クローン病簡易内視鏡スコア [SES-CD;0~56 で,数値が高いほど重症であることを示す] が 4 以下で,ベースラインから 2 以上低下しており,サブスコアが 2 以上の項目がないことと定義)とし,患者の 100%を対象に優越性について解析した.主要エンドポイントは逐次的に検定した.安全性は,リサンキズマブまたはウステキヌマブの投与を 1 回以上受けた全例を対象に評価した.
有効性解析の full intention-to-treat 集団は,リサンキズマブの投与を受けた 255 例と,ウステキヌマブの投与を受けた 265 例であった.それぞれ 230 例(90.2%)と 193 例(72.8%)が,割り付けられた投与をすべて完了した.主要エンドポイントは 2 つとも達成され,リサンキズマブは,ウステキヌマブに対して,24 週の時点での臨床的寛解割合に関して非劣性を示し(58.6% 対 39.5%,補正後の差 18.4 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 6.6~30.3),48 週の時点での内視鏡的寛解割合に関して優越性を示した(31.8% 対 16.2%,補正後の差 15.6 パーセントポイント,95% CI 8.4~22.9,P<0.001).有害事象の発現率は 2 群で同程度であると思われた.
抗 TNF 療法では許容できない副作用が発現したか,十分な効果が得られなかった中等症~重症のクローン病患者を対象にリサンキズマブとウステキヌマブを直接比較した臨床試験において,リサンキズマブは,ウステキヌマブに対して,24 週の時点での臨床的寛解に関して非劣性を示し,48 週の時点での内視鏡的寛解に関して優越性を示した.(アッヴィ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04524611)