代謝障害関連脂肪肝炎および肝線維化に対するスルボデュチドの第 2 相無作為化試験
A Phase 2 Randomized Trial of Survodutide in MASH and Fibrosis
A.J. Sanyal and Others
代謝障害関連脂肪肝炎(MASH)の治療において,グルカゴン受容体とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体の二重作動作用(デュアルアゴニズム)は,GLP-1 受容体のみへの作動作用よりも有効である可能性がある.MASH と肝線維化を有する患者における,スルボデュチド(survodutide,グルカゴン受容体と GLP-1 受容体のデュアル作動薬)の有効性と安全性は明らかでない.
48 週間の第 2 相試験で,生検で MASH の診断が確定され,肝線維化ステージ F1~F3 の成人を,スルボデュチドの週 1 回の皮下注射を 2.4 mg で行う群,4.8 mg で行う群,6.0 mg で行う群と,プラセボを投与する群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.この試験は,24 週間の急速用量漸増期と,その後の 24 週間の用量維持期の 2 期間で構成された.主要エンドポイントは,肝線維化の進行を伴わない MASH の組織学的改善(スコア低下)とした.副次的エンドポイントは,肝脂肪量の 30%以上の減少,生検で評価した肝線維化ステージの 1 段階以上の改善(低下)などとした.
295 例が無作為化され,293 例がスルボデュチドまたはプラセボの投与を 1 回以上受けた.肝線維化の進行を伴わない MASH の改善は,スルボデュチド 2.4 mg 群の 47%,スルボデュチド 4.8 mg 群の 62%,スルボデュチド 6.0 mg 群の 43%が達成したのに対し,プラセボ群では 14%であった(もっとも適合するモデルとしての 2 次用量反応曲線で P<0.001).肝脂肪量の 30%以上の減少は,スルボデュチド 2.4 mg 群の 63%,スルボデュチド 4.8 mg 群の 67%,スルボデュチド 6.0 mg 群の 57%,プラセボ群の 14%が達成し,肝線維化ステージの 1 段階以上の改善はそれぞれ 34%,36%,34%,22%が達成した.スルボデュチド群において,プラセボ群よりも発現頻度が高かった有害事象は,悪心(66% 対 23%),下痢(49% 対 23%),嘔吐(41% 対 4%)などであり,重篤な有害事象はスルボデュチド群では 8%,プラセボ群では 7%に発現した.
スルボデュチドは,肝線維化の進行を伴わない MASH の改善に関して,プラセボに対する優越性を示した.これは第 3 相試験でさらに検討する十分な根拠となる.(ベーリンガーインゲルハイム社から研究助成を受けた.1404-0043 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04771273,EudraCT 登録番号 2020-002723-11)