小児先天性副腎過形成症に対するクリネセルフォントの第 3 相試験
Phase 3 Trial of Crinecerfont in Pediatric Congenital Adrenal Hyperplasia
K. Sarafoglou and Others
21-水酸化酵素欠損症に起因する古典型先天性副腎過形成症(CAH)の小児では,コルチゾール不足に対処し,過剰な副腎アンドロゲンを抑制するため,通常,生理的用量の範囲を超えるグルココルチコイドの投与が必要となる.しかし,このような治療により,グルココルチコイド関連合併症が発症しやすくなる.CAH 患者に新規経口コルチコトロピン放出因子 1 型受容体拮抗薬であるクリネセルフォント(crinecerfont)を 2 週間投与した 2 件の第 2 相試験では,アンドロステンジオン値が低下した.
第 3 相国際共同無作為化試験で,小児 CAH 患者を,クリネセルフォントを 28 週間投与する群と,プラセボを投与する群に 2:1 の割合で割り付けた.グルココルチコイド投与は,一定用量を 4 週間維持し,その後,アンドロステンジオン値がコントロールされていれば(ベースライン値の 120%以下または基準範囲内),目標用量 8.0~10.0 mg/m2 体表面積/日(ヒドロコルチゾン当量)に調節した.主要有効性エンドポイントは,アンドロステンジオン値のベースラインから 4 週目までの変化とした.重要な副次的エンドポイントの 1 つは,アンドロステンジオンのコントロールが維持された状態での,グルココルチコイド用量のベースラインから 28 週目までの変化(%)とした.
計 103 例が無作為化され,69 例がクリネセルフォント群,34 例がプラセボ群に割り付けられた.28 週の時点で,100 例(97%)が試験を継続していた.ベースライン時のグルココルチコイド用量の平均は 16.4 mg/m2/日であり,アンドロステンジオン値の平均は 431 ng/dL(15.0 nmol/L)であった.4 週の時点で,アンドロステンジオンは,クリネセルフォント群では大幅に減少したが(-197 ng/dL [-6.9 nmol/L]),プラセボ群では増加した(71 ng/dL [2.5 nmol/L])(最小二乗平均差 [LSMD] -268 ng/dL [-9.3 nmol/L],P<0.001).また,朝のグルココルチコイド投与前に採血して測定したアンドロステンジオン値の平均は,クリネセルフォント群 208 ng/dL(7.3 nmol/L)に対し,プラセボ群 545 ng/dL(19.0 nmol/L)であった.28 週の時点で,グルココルチコイド用量の平均は,クリネセルフォント群では(アンドロステンジオンのコントロールが維持された状態で)18.0%減少していたが,プラセボ群では 5.6%増加していた(LSMD -23.5 パーセントポイント,P<0.001).とくに頻度の高かった有害事象は,頭痛,発熱,嘔吐であった.
小児 CAH 患者を対象としたこの第 3 相試験では,クリネセルフォントは,上昇したアンドロステンジオン値の低下に関してプラセボよりも優れており,生理的用量の範囲を超えるグルココルチコイド投与が,アンドロステンジオンのコントロールが維持された状態で,生理的用量の範囲内に減少した.(ニューロクライン バイオサイエンシズ社から研究助成を受けた.CAHtalyst Pediatric 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04806451)