September 12, 2024 Vol. 391 No. 10
新たに診断された慢性骨髄性白血病に対するアシミニブ
Asciminib in Newly Diagnosed Chronic Myeloid Leukemia
A. Hochhaus and Others
新たに慢性骨髄性白血病(CML)と診断された患者には,有効性が高く安全な長期治療が必要である.ABL ミリストイルポケットを特異的に標的とする BCR::ABL1 阻害薬であるアシミニブは,現在一次治療として利用可能な ATP 競合型チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)よりも有効性と安全性に優れ,副作用が少ない可能性がある.
第 3 相試験で,新たに CML と診断された患者を,アシミニブ(80 mg 1 日 1 回)を投与する群と,試験担当医師が選択した TKI を投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,無作為化は,欧州治療・転帰研究長期生存(ELTS)スコアカテゴリー(低リスク,中リスク,高リスク)と,無作為化前に試験担当医師が選択した TKI(イマチニブまたは第二世代 TKI)で層別化して行った.主要評価項目は,48 週の時点での分子遺伝学的大奏効(国際標準法 [IS] で BCR::ABL1 転写量が 0.1%以下と定義)とし,アシミニブ群と医師選択 TKI 群とのあいだ,無作為化前にイマチニブが選択された層におけるアシミニブ群と医師選択 TKI 群とのあいだで比較した.
201 例がアシミニブ群,204 例が医師選択 TKI 群に割り付けられた.追跡期間の中央値は,アシミニブ群 16.3 ヵ月,医師選択 TKI 群 15.7 ヵ月であった.48 週の時点での分子遺伝学的大奏効割合は,アシミニブ群 67.7%に対し,医師選択 TKI 群 49.0%であり(差 18.9 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 9.6~28.2,補正した両側 P<0.001),イマチニブ層では,アシミニブ群 69.3%に対し,イマチニブ群 40.2%であった(差 29.6 パーセントポイント,95% CI 16.9~42.2,補正した両側 P<0.001).第二世代 TKI 層における 48 週の時点での分子遺伝学的大奏効割合は,アシミニブ群 66.0%,TKI 群 57.8%であった(差 8.2 パーセントポイント,95% CI -5.1~21.5).グレード 3 以上の有害事象の頻度と,試験レジメンの中止にいたった有害事象の頻度は,アシミニブ群(それぞれ 38.0%と 4.5%)が,イマチニブ群(44.4%と 11.1%)および第二世代 TKI 群(54.9%と 9.8%)よりも低かった.
新たに慢性期 CML と診断された患者を対象に,アシミニブを,試験担当医師が選択した TKI,およびイマチニブと比較した試験で,アシミニブは優れた有効性と良好な安全性プロファイルを示した.アシミニブと第二世代 TKI との直接比較は主要目的ではなかった.(ノバルティス社から研究助成を受けた.ASC4FIRST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04971226)