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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 13, 2003
Vol. 348 No. 7

ORIGINAL ARTICLES

  • 高齢者における高血圧症に対するACE 阻害薬と利尿薬の転帰
    Outcomes with ACE Inhibitors and Diuretics for Hypertension in the Elderly

    高齢者における高血圧症に対するACE 阻害薬と利尿薬の転帰

    この前向き非盲検無作為試験は,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬あるいは利尿薬による治療を受けた 65~84 歳の高血圧症被験者における転帰を比較した.心血管イベントや全死因死亡の発生率は,ACE 阻害薬を投与された男性被験者においてより低かった.
    ACE 阻害薬を用いた高齢者の高血圧症の治療は,血圧の降下は同程度にもかかわらず,転帰に関しては利尿薬治療よりも利益が得られる可能性がある.その差は男性においてとくに明らかなようである.

  • 血管内皮前駆細胞と心血管リスク
    Endothelial Progenitor Cells and Cardiovascular Risk

    血管内皮前駆細胞は骨髄由来の単核細胞であり,血液中に入り,血管内皮の維持に役立つと考えられている.この研究では,血液中の前駆細胞数は心血管リスクと逆相関の関係にあり,また,上腕動脈の血管内皮機能とは正の相関関係にあったことが判明した.
    この予備的研究は,血液中の単核細胞の集団が,血管内皮の完全な状態を維持している可能性を示唆している.著者らは,これらの細胞の減少や老化が,血管の機能障害や疾患の要因であるかもしれないと推測している.

  • クローン病における免疫原性とインフリキシマブの有効性
    Immunogenicity and the Efficacy of Infliximab in Crohn's Disease

    従来の治療に抵抗性を示すクローン病に対するインフリキシマブ注入を複数回受けた患者を対象にして,観察研究を行ったところ,61%の患者で抗インフリキシマブ抗体が形成されていた.抗体はインフリキシマブ濃度および反応の持続期間を減少させた.免疫抑制剤を併用投与された患者では,抗インフリキシマブ抗体が形成される可能性は低かった.
    インフリキシマブ注入を複数回受ける患者の大半で抗インフリキシマブ抗体が形成され,臨床反応の持続期間の短縮作用が生じる.免疫抑制剤の併用投与によりインフリキシマブの有効性が増強されるかもしれない.

CLINICAL PRACTICE

  • 高血圧症の初期治療
    Initial Treatment of Hypertension

    50 歳の黒人男性は,反復測定で血圧 160/110 mmHg を示している.患者は 9 kg の体重超過で,高血圧症の家族歴があり,1 日 1 箱たばこを吸う.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?
    米国では成人の 25%が高血圧症にかかっており,適切に治療されているのはそのうちの 30%にも満たない.

DRUG THERAPY

  • 選択的エストロゲン受容体修飾因子
    Selective Estrogen-Receptor Modulators

    選択的エストロゲン受容体修飾因子(SERM)は,化学的に異なる非ステロイド化合物であり,エストロゲン受容体に結合可能な立体構造を有している.これらの化合物は,標的組織によって選択的作動作用または拮抗作用を示す.この論文では,SERM 作用の分子的基礎およびこのクラスの薬剤の組織選択的作動・拮抗作用について現在得られている情報を概説している.また,SERM の治療用途に関する見通しが述べられ,SERM と,エストロゲン・非エストロゲン代替薬との比較も示されている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • HIV の免疫系回避
    HIV Evasion of the Immune System

    病原体はさまざまな方法を用いて免疫反応を回避する.ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV- 1)はこの点に関して非常に有能である.最近の研究で,通常露出している HIV-1 糖蛋白 120(gp120)に対して作られた抗体が,なぜ往々にして感染を予防することができないのかが明らかにされ,その過程で,ウイルスによる回避の新しい方法が発見されている.gp120 の表面は著しく柔軟で,抗体が捉えにくいようになっている.この知見は,有効な HIV-1 ワクチンを開発するうえで意味がある.

SOUNDING BOARD

  • 閉経後のホルモン療法
    Postmenopausal Hormone Therapy

    観察研究とは異なり,ホルモン補充療法の無作為臨床試験では,心臓病予防効果が示されなかった.著者らはこれらの矛盾した結果について,複数の方法論的および生物学的説明を述べている.