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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
January 22, 2004
Vol. 350 No. 4
ORIGINAL ARTICLE
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出生時に性別を女性とされた遺伝的には男性である患児における性同一性の不一致
Discordant Sexual Identity in Genetic Males Assigned to Female Sex at Birth総排泄腔外反症は,骨盤のまれな複合欠損である.これに伴う重篤な陰茎の発育不全に対処するため,出生時に性別を女性とされた,遺伝的には男性である患児の転帰に関するデータは少ない.この論文は,遺伝的には男性である 16 例に関して,その後の性同一性について報告している.このうちの 14 例は,生後すぐに性別を女性とされた.性別を女性とされた対象者 14 例中 8 例は,やがて自分は男性であると申告した;男性として育てられた 2 例は男性のままであった.
遺伝的・ホルモン的に男性として生まれた小児は,女性として育てられ,出生児に女性生殖器形成術を施行されているにもかかわらず,自身を男性として認識する場合がある.陰茎の発育不全を理由に遺伝的には男性である小児の性別を女性とする慣行は,新生児のすでに複雑な状態をさらに複雑にする可能性があるため,再検討すべきである. -
西半球におけるサル痘
Monkeypox in the Western Hemisphere2003 年 6 月,米国中西部において,発熱,発汗,皮膚病変,リンパ節症を呈した患者数名がサル痘と診断された.今回の調査は,集団発生の初期に確認された患者 11 例に関する報告である.患者全員が,同一の販売業者からペット用に購入した,罹患したプレーリードッグと接触していた.
この報告は,西半球におけるヒトでのサル痘の集団発生を実証するものである.感染源は西アフリカから輸入された齧歯類であることが明らかにされた. -
非小細胞肺癌に対するシスプラチンを基本とした補助化学療法
Cisplatin-Based Adjuvant Chemotherapy for Non-Small-Cell Lung Cancer33 ヵ国で実施されたこの大規模な国際試験は,非小細胞肺癌を完全切除した患者で,術後のシスプラチンを基本とした化学療法により全生存率が改善したことを示している.その利益はわずかであったが,統計学的には有意であった.
世界的に肺癌発生率が高いことを考えると,生存率のわずかな改善が多くの患者に利益をもたらすと考えられる.
BRIEF REPORT
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学生旅行者のタナポックス
Tanapox in a Student Traveler米国ニューハンプシャー州出身の 21 歳の女子学生に,圧痛を伴う2 cm の小結節が 2 個認められた.小結節は,コンゴ共和国滞在中に発熱したあとに発現した.学生はコンゴ共和国でチンパンジーの世話をしていた.組織標本の電子顕微鏡検査およびポリメラーゼ連鎖反応解析により,タナポックスの診断が確定した.ポックスウイルス感染は赤道アフリカに固有のもので,北米で診断されることはまれである.タナポックスは,重大な公衆衛生上の問題をもたらす天然痘やサル痘などの感染症とは区別しなければならない.
DRUG THERAPY
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肺癌の集学的管理
Multidisciplinary Management of Lung Cancer長年の研究にもかかわらず,肺癌患者の 5 年生存率はわずか 14%である.肺癌は大きく 2 種類,すなわち非小細胞肺癌と,より予後のわるい小細胞肺癌に分類される.この総説では,集学的管理と最近の臨床試験という枠組みの中で,それぞれの肺癌の治療について考察している.
肺癌は早期であれば治癒可能であり,治療を受ければ,ほとんどの患者が生存期間の延長や症状の改善などなんらかの恩恵を受ける.
MECHANISMS OF DISEASE
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性の決定と分化
Sex Determination and Differentiationこの総説では,発生学,動物モデル,臨床症候群から例をあげ,性の決定と分化の分子的機構を解明している.論じられている臨床問題の一部には,性転換,不完全な男性化,仮性半陰陽,性腺やその他の器官に関連する症候群がある.
SOUNDING BOARD
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質の高いケアに対する医師への報酬
Paying Physicians for High-Quality Care医師の報酬の一部として報奨金が支払われることは一般的であるが,これは主に高額な医療サービスの制限を目的としている.新しい概念は,医療の質の明確な指標に基づいて,質の高いケアを提供した医師に対して報酬を支払うというものである.このようなシステムは最近英国で導入されている.著者らは,この発想には取り組む価値があると考えているが,実現させるためには大きな障害と重要な課題があることも指摘している.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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内なる危険
The Danger Within最近の研究から,尿酸結晶は,樹状細胞の成熟を引き起すことによって免疫補助物質として作用し,T 細胞の応答を誘発しうることが示されている.