The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 21, 2005
Vol. 352 No. 16

ORIGINAL ARTICLE

  • 冠動脈イベント予防のためのアジスロマイシン
    Azithromycin to Prevent Coronary Events

    肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)は,冠動脈疾患の発症に関与していると考えられている.この研究では,C. pneumoniae の除去を目的としたアジスロマイシンによる抗菌薬治療により,冠動脈イベントのリスクが低下するかどうかを検討した.アジスロマイシンに関連した有益な効果は認められなかった.この試験は,本誌今週号で Cannon らが報告している論文と同様,C. pneumoniae が冠動脈疾患の発症に重要な役割を果しているという説を支持しないものである.

  • 急性冠症候群発症後の肺炎クラミジア感染の治療
    Treatment of C. pneumoniae Infection after Acute Coronary Syndrome

    これまでの試験から,肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)感染が冠動脈疾患の病因の 1 つである可能性が示唆されている.この研究は,C. pneumoniae に対して殺菌活性をもつ抗菌薬ガチフロキサシンで 2 年間治療を行っても,臨床転帰に関する有益な効果は得られなかったことから,その説に疑問を投じている.この研究は,本誌今週号に報告されている,同様の結論に達した Grayston らの研究の結果を補足するものである.

  • 若年性関節リウマチに対するレフルノミドとメトトレキサートの比較
    Leflunomide versus Methotrexate for Juvenile Rheumatoid Arthritis

    多関節型若年性関節リウマチの小児を対象としたこの無作為試験では,メトトレキサートで得られた転帰はレフルノミドよりもわずかに優れており,16 週の時点での 30%改善率はそれぞれ 89%と 68%であった.それぞれの群で,16 週の時点でみられた臨床的改善は 48 週まで持続した.
    メトトレキサートは,若年性関節リウマチに対する有効性がレフルノミドよりもわずかに高いと考えられるが,いずれの薬剤でも高い反応率が認めら れた.

  • ARLTS1 遺伝子多型と家族性癌
    An ARLTS1 Variant and Familial Cancer

    ARLTS1 遺伝子は,膜輸送や小胞輸送などさまざまな機能をもつ蛋白をコードする大きな遺伝子ファミリーに属する.著者らは,ARLTS1 遺伝子が腫瘍抑制遺伝子であり,ARLTS1 遺伝子の多型変異が家族性腫瘍に関連しているという根拠を示している.
    ARLTS1 遺伝子多型は,アポトーシスや ARLTS1 蛋白のヌクレオチド結合性を阻害することにより,発癌の一因となっている可能性がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 脳卒中後のリハビリテーション
    Rehabilitation after Stroke

    66 歳の男性が,突然話せなくなり,指示通りに動けず,右腕と右脚を動かせなくなった.男性は 90 分以内に組織プラスミノーゲンアクチベーターの投与を受けた.4 日後,男性は「はい」「いいえ」で答えるのがやっとの状態であった.歩いたり右腕を使ったりすることはできず,身の回りの世話には最大限の介助を必要とした.障害に対するリハビリテーションに関して,この患者とその家族にどのようなアドバイスをすればよいであろうか?

MECHANISMS OF DISEASE

  • 炎症,粥状硬化症,冠動脈疾患
    Inflammation, Atherosclerosis, and Coronary Artery Disease

    炎症,粥状硬化症,冠動脈疾患

    この総説では,粥状硬化症と冠動脈疾患における炎症の役割に関する研究の草分け的存在である Goran Hansson 氏が,急性冠症候群の発症機序に関する新たな概念についてまとめている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 縦隔腫瘤を有する女性
    Woman with a Mediastinal Mass

    縦隔腫瘤を有する女性

    30 歳の女性に左胸部,上腕,肩関節の痛みが現れ,痛みは 2 ヵ月にわたって強くなった.女性はその後,咳,喀血,胸膜痛を呈した.胸部 X 線像では,左肺の小舌に浸潤が認められた.症状は抗菌薬治療ではほとんど改善しなかった.胸部 X 線像から,前縦隔に巨大な腫瘤があることが明らかになった.診断手技が行われた.

LEGAL ISSUES IN MEDICINE

  • テリ・シャイボ訴訟
    The Case of Terri Schiavo

    長年植物状態にあったフロリダの女性,テリ・シャイボさんの両親は,人工栄養補給を中止するという彼女の夫の決断に反対し,長期にわたり法廷闘争を続けた.フロリダ州裁判所は,シャイボさんの望みに沿ったケアを行うとし,彼女の栄養補給管を抜くよう命じた.シャイボ訴訟の判決は判例通りであったが,フロリダ州政府および米国政府の立法機関と行政機関による事例への介入は前代未聞であった.