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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 27, 2005
Vol. 352 No. 4

ORIGINAL ARTICLES

  • 鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスのヒトからヒトへの伝播の可能性
    Probable Person-to-Person Transmission of Avian Influenza (H5N1) Virus

    鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスのヒトからヒトへの伝播の可能性

    この調査は,ある少女とその母親が急性ウイルス性肺炎で死亡し,少女が居住を共にしていた伯母も重症ウイルス性肺炎に罹患したあと,タイで行われた.母親と伯母から採取した標本は,鳥インフルエンザ(H5N1)感染陽性であった.
    この鳥インフルエンザ(H5N1)に感染した一群では,患者 2 例は罹患したトリに接触しておらず,ヒトからヒトへの感染伝播が起ったことが示唆された.遺伝子解析では,H5N1 が汎流行株に変異したことを示す証拠は認められなかったが,継続的な監視が不可欠である.

  • 血管危険因子と糖尿病性神経障害
    Vascular Risk Factors and Diabetic Neuropathy

    血糖コントロール以外に,糖尿病性神経障害の治療法はない.したがって,新しい治療法を開発するためには,修正可能な危険因子を同定することがきわめて重要である.
    この前向き研究から,1 型糖尿病における神経障害の発生率は,血糖コントロールのほかに,トリグリセリド値の高値,体格指数,喫煙,高血圧など,修正可能な心血管危険因子と関連していることが示される.

  • ウェゲナー肉芽腫症に対するエタネルセプト+標準療法
    Etanercept plus Standard Therapy for Wegener's Granulomatosis

    この無作為試験では,ウェゲナー肉芽腫症患者の寛解を維持する目的で,標準療法にエタネルセプトを加える方法の効果を評価した.試験期間を通じて寛解が維持されたのは患者のわずか 49%で,寛解が持続する割合は,エタネルセプトによってプラセボよりも高くはならなかった.
    エタネルセプトには,ウェゲナー肉芽腫症患者の疾患の再燃を予防する効果はない.

  • 糖原病と肥大型心筋症
    Glycogen Storage Diseases and Hypertrophic Cardiomyopathy

    肥大型心筋症は,通常,サルコメア蛋白の変異によって起きるが,そのような変異がみられない患者もいる.この研究では,肥大型心筋症の原因として,グリコーゲン代謝に関与する酵素をコードする遺伝子の変異を同定した.つまり,糖原病は,グリコーゲンに富む小胞が筋細胞内に蓄積することにより,ときには肥大型心筋症として発現する可能性がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 癌に関連した高カルシウム血症
    Hypercalcemia Associated with Cancer

    乳癌の既往のある 47 歳の女性が,錯乱と脱水を呈している.血清カルシウム値は 18.0 mg/dL である.女性には起立性低血圧があり,中心静脈圧が低い.血清リン値 5.0 mg/dL,血中尿素窒素値 80 mg/dL,血清クレアチニン値 2.0 mg/dL,アルブミン値 3.3 g/dL である.骨シンチグラフィでは,腫瘍の骨転移を示す所見は認められない.この女性をどのように治療すべきであろうか?

REVIEW ARTICLE

  • 新規 β-ラクタマーゼ
    The New β-Lactamases

    新規 β-ラクタマーゼ

    β-ラクタマーゼの産生は,グラム陰性菌が β-ラクタム系抗菌薬に対抗するための主な防御手段である.この総説では,さまざまな種類の β-ラクタマーゼについて詳述し,それらを検出する方法を説明し,このような形態の耐性の遺伝学に関する情報を要約する.著者らは,この困難なタイプの抗菌薬耐性に対する臨床管理と予防の戦略も提案している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 発育遅延と思春期遅発が最近になってみられる少年
    A Boy with Recent Slowing of Growth and Delayed Puberty

    発育遅延と思春期遅発のため,14 歳の少年に評価を行った.少年の成長曲線は,約 4 年前から,体重増加率が約 50 パーセンタイルから 25 パーセンタイルに低下していることを示していた.それ以外,少年に症状はなかった.手の X 線写真では,骨年齢は 12 歳 6 ヵ月であった.診断検査が行われた.