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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 10, 2005
Vol. 352 No. 6

ORIGINAL ARTICLES

  • 悲嘆症候群
    Broken Heart Syndrome

    悲嘆症候群

    予期せぬ死などによって突然受ける精神的苦痛により,重度の左室機能不全が一時的に引き起されることがある.このストレス誘発性の心筋症は,交感神経の強い刺激に関連する心筋収縮不全の一種であると考えられる.

  • 骨髄異形成症候群に対するレナリドミド
    Lenalidomide for Myelodysplastic Syndromes

    骨髄異形成症候群に対するレナリドミド

    低リスクの骨髄異形成症候群患者 43 例を対象とした試験において,サリドマイドの誘導体であるレナリドミドにより貧血が改善し,その結果半数以上の患者で輸血を中止することができた.
    この結果は,グレードの低い骨髄異形成症候群に対する新しい治療法として,レナリドミドが有望であることを示している.サリドマイドの主な有害作用である神経毒性はみられなかったが,好中球減少と血小板減少が問題となった.

  • 1 型アンジオテンシン II 受容体抗体と同種移植腎拒絶反応
    Angiotensin II Type 1-Receptor Antibodies and Renal-Allograft Rejection

    重度の血管性拒絶反応を示した腎移植レシピエントの中には,抗 HLA 抗体をもつ者もいれば,もたない者もいる.進行性高血圧,そして痙攣さえも伴う重度の血管性拒絶反応は,妊娠高血圧腎症に似ている.妊娠高血圧腎症患者では,1 型アンジオテンシン II 受容体を標的とする活性化抗体が認められていることから,著者らが重度の血管性拒絶反応を起した患者でそのような抗体を探索したところ,抗体が検出された.これらの結果は,HLA を介さず 1 型アンジオテンシン II 受容体を介する経路が,血管性拒絶反応に関与している可能性があることを示唆している.

SPECIAL ARTICLES

  • HIV スクリーニングの費用対効果
    Cost-Effectiveness of Screening for HIV

    著者らは,HIV 感染の有病率が 1%の医療現場で定期的に HIV スクリーニングを行うと,QOL 補正後生存年数が 1 年延長するごとに 15,000 ドルかかると推定している.費用は,HIV 有病率が 0.05%を上回る場合にも 50,000 ドル未満である.HIV 伝播の減少により見込まれる利益を除外した場合,HIV 感染の有病率が 1%の集団でスクリーニングを行うと,QOL 補正後生存年数が 1 年延長するごとにおよそ 42,000 ドルかかる.
    定期的な HIV スクリーニングは,HIV 感染の有病率が極端に低い場合を除き,費用対効果が高い.

  • HIV スクリーニングを支持する知見
    The Case for HIV Screening

    この費用対効果分析では,定期的な HIV スクリーニングと,選択的スクリーニングおよび日和見感染患者を通しての現行の HIV 検出法とを比較した.HIV の有病率が 1%の場合,1 回のスクリーニングの費用は,QOL 補正生存年数が 1 年延長するごとに 38,000 ドルであり,米国一般集団(有病率 0.1%)では 113,000 ドルであった.HIV のスクリーニングにより HIV の伝播が減少すると考えられ,費用対効果がより低くなる可能性がある.
    この知見は,HIV 有病率が 1%以上の集団において定期的に HIV スクリーニング検査を行うことを推奨する,CDC の勧告を支持している.また,有病率が低い集団でもスクリーニングの費用対効果は高いことが示唆される.

CLINICAL PRACTICE

  • 健康を害するアルコール摂取
    Unhealthy Alcohol Use

    健康を害するアルコール摂取

    32 歳の男性が,3 ヵ月間にわたる睡眠困難を訴えている.問診で,男性はワイン 4~6 杯を週に 3,4 回飲むと述べている.この男性の症例をどのように評価し,管理すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 鼻のうっ血,腫脹,および痛みを呈する男性
    A Man with Nasal Congestion, Swelling, and Pain

    鼻のうっ血,腫脹,および痛みを呈する男性

    最近ブラジルから移住してきた 35 歳の男性が,右の外鼻孔に腫脹と痛みを呈し,症状は 6 ヵ月にわたって悪化していった.身体診察では,右鼻前庭に圧痛と痂皮形成を伴う腫脹および紅斑が認められた.病変は抗菌薬治療に反応を示さなかった.生検により,微生物の存在が認められない,壊死性の肉芽腫性炎症であることが明らかとなった.診断手技が行われた.