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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 29, 2005
Vol. 353 No. 13

ORIGINAL ARTICLE

  • 急性移植片対宿主病に対する予防的移植前処置
    Protective Conditioning for Acute Graft-versus-Host Disease

    同種造血幹細胞による血液悪性疾患の治療には,急性移植片対宿主病(GVHD)のリスクが高い移植前処置が必要である.この研究では,マウスモデルで開発されたレジメンにより,急性 GVHD の発生率が大幅に減少し,そのうえ強力な抗腫瘍活性が維持されることが確認された.

  • 死亡リスクの低い敗血症患者に対するドロトレコギン・アルファ
    Drotrecogin Alfa for Patients with Sepsis and a Low Risk of Death

    活性型ドロトレコギン・アルファは,死亡リスクの高い敗血症患者への使用が承認されている.この対照試験では,死亡リスクの低い患者において利益は認められなかった(ドロトレコギン・アルファ群の死亡の相対リスク 1.08).重大な出血の発生率は,ドロトレコギン・アルファ群のほうが高かった.ドロトレコギン・アルファは,単一臓器不全や APACHE II スコアが 25 未満といった死亡リスクの低い敗血症患者に対して用いるべきではない.

  • 重症大動脈弁閉鎖不全症患者における 長期血管拡張療法
    Long-Term Vasodilator Therapy in Patients with Severe Aortic Regurgitation

    10 年以上前に発表された研究では,ニフェジピンの投与を受けた重症大動脈弁閉鎖不全症患者で,ジゴキシン投与と比較して,大動脈弁置換術が必要となるまでの時間が遅延した.本誌今週号に掲載されているニフェジピンとエナラプリルを無治療と比較した試験では,そのような効果は確認できなかった.

  • 妊娠中の感染症に対する高力価免疫グロブリン
    Hyperimmune Globulin for Infection during Pregnancy

    先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は,神経後遺症の発生率が高いことと関連している.この研究では,最近 CMV に初感染した所見を示す妊娠女性 31 例に対し,CMV 特異的高力価免疫グロブリンを静脈内投与した.高力価免疫グロブリンの投与を受けた女性で感染症状を示す罹患児を出産したのは 1 例のみであったのに対し,投与を受けなかった女性から生まれた 14 例の乳児では 7 例に障害があった.この無作為研究で,高力価免疫グロブリンは安全であり,先天性 CMV 感染症の治療と予防に有効である可能性が示唆された.

DRUG THERAPY

  • インフルエンザに対するノイラミニダーゼ阻害薬
    Neuraminidase Inhibitors for Influenza

    ノイラミニダーゼ阻害薬は,インフルエンザウイルスに作用し,鳥インフルエンザを含む,あらゆる起源の新型インフルエンザウイルスによるインフルエンザの流行に備えるうえで不可欠である.この論文では,この阻害薬について考察している.

CURRENT CONCEPTS

  • ヒトにおける鳥インフルエンザ
    Avian Influenza in Humans

    病原性の強い鳥インフルエンザ A(H5N1)ウイルスは,種の壁を越え,アジアでヒトに死をもたらし,流行の脅威はますます大きくなっている.このウイルス感染は,伝播経路,臨床的重症度,発症機序,治療効果においてヒトインフルエンザとは異なっている.この論文では,インフルエンザ A(H5N1)感染症の特徴を説明し,予防および臨床管理に関する勧告の最新情報を紹介する.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 発熱と腋窩リンパ節腫脹を呈する男性
    A Man with Fever and Axillary Lymphadenopathy

    56 歳の腎移植レシピエントが,発熱と腋窩リンパ節腫脹で受診した.最近の渡航歴や病人への接触はなかった.診察では,片側の手背の皮膚に結節がみられ,手と同側の腋窩リンパ節に圧痛を伴う腫瘤が認められた.クラリスロマイシンが処方されたが,同日のうちに体温が 39.4 ℃に上昇し,悪寒戦慄が生じた.

SOUNDING BOARD

  • 事故死,救われた命,改善された質
    Accidental Deaths, Saved Lives, and Improved Quality

    この論文の著者らは,米国科学アカデミーの医学研究所は,患者の安全性に関する運動によって一般市民と医療従事者の関心を引くことに成功したものの,医療過誤による死亡を 50%減らすという目標を依然として達成していないと論じている.また,事故死を防ぐことに焦点を当てるのではなく,より効果的な医療を提供するために科学的根拠に基づく介入に専念することで,最大の期待がかけられると著者らは確信している.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • siRNA で標的に向う
    On Target with Silencing RNAs

    細胞に特異的な遺伝子発現を標的とする新しい方法が,2 種類の癌モデルマウスで証明されている.