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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
June 22, 2006
Vol. 354 No. 25
ORIGINAL ARTICLE
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コンドームの使用と若年女性における性器 HPV 感染
Condom Use and the Risk of Genital HPV Infection in Young Women女子大学生を対象としたこの前向き研究では,シアトルの研究者たちが,女性の初回性交から男性パートナーが一貫してコンドームを使用した場合,女性のヒトパピローマウイルス(HPV)感染の発生率が低下することを証明している.性器 HPV の発生率は,100 例/年当り 89.3(コンドーム使用率 5%)から 37.8(コンドーム使用率 100%)に減少した.
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強皮症性肺疾患におけるシクロホスファミド
Cyclophosphamide in Scleroderma Lung Disease間質性肺炎は,全身性強皮症によくみられる合併症であるが,広く認められた治療法はない.この無作為化プラセボ対照試験では,シクロホスファミドによる 1 年間の治療は,肺機能および症状の転帰のわずかではあるが有意な改善と関連していた.この治療法の長期的な有害作用は明らかになっていない.
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全身性硬化症における PDGF 受容体刺激性自己抗体
Stimulatory Autoantibodies to the PDGF Receptor in Systemic Sclerosis全身性硬化症(強皮症)は,内皮細胞の障害と組織の線維化を特徴とする自己免疫疾患であるが,その病態生理は明らかにされていない.強皮症患者は,血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に対する作動性自己抗体をもつことが示された.この自己抗体は,線維芽細胞に作用し,強皮症の発症に病因的役割を果している可能性がある.
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コネキシン 40 変異および心房細動
Connexin 40 Mutations and Atrial Fibrillation特発性心房細動患者 15 例中 4 例において,ギャップ結合蛋白コネキシン 40 の遺伝子である,GJA5 のヘテロ変異が同定された.これらは,心房細動の原因とされる変異体のリストに追加され,心房細動の分子的基盤に対するわれわれの理解を深めるであろう.
CLINICAL THERAPEUTICS
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喘息に対するオマリズマブ
Omalizumab for Asthma吸入副腎皮質ステロイドによる治療にもかかわらず重症持続型喘息を患っている 16 歳の男児が,検査のため受診している.モノクローナル抗 IgE 抗体,オマリズマブを用いた治療が推奨される.オマリズマブは,喘息の増悪頻度を低下させることが臨床試験で明らかにされているが,この薬剤の有効性が,その他の利用可能な治療法と比較してどの程度であるのかは不明である.また,この薬剤は他の薬剤より高価である.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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皮下結節が急激に増大した男児
A Boy with Rapid Growth of Subcutaneous Nodules生後 22 ヵ月の男児が,両脚,右手,頸部に皮下結節を生じ,小児リウマチ科を受診した.受診前の 6 週間に,結節の大きさと数がふえたという.小児はそれ以外の点では健康であった.病変は硬く,圧痛はなく,わずかに移動性があり,色素沈着はなかった.診断検査が行われた.
LEGAL ISSUES IN MEDICINE
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バイオテロと「バイオアート」― どっちもどっち
Bioterror and “Bioart” ― A Plague o' Both Your Houses2001 年 9 月 11 日のテロ攻撃と,バイオテロに関する懸念の高まりを受けて,米国政府はバイオテロ対策を構築するための研究資金を増額し,新たなバイオセーフティ法を可決した.この論文で Annas は,科学者がバイオセーフティ法違反の罪に問われた 2 件の訴訟により提起された,法的・倫理的問題について論じている.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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高血圧における新たなプレーヤー?
A New Player in Hypertension?血管に発現する細胞外増殖因子 Emilin1 が欠損したマウスは,高血圧を発症する.この観察所見は,Emilin1 がトランスフォーミング増殖因子(TGF-β)の作用を制御するという知見と共に,TGF-β の高血圧への関与を示すエビデンスの増大に寄与している.