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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
March 2, 2006
Vol. 354 No. 9
ORIGINAL ARTICLE
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再発性多発性硬化症に対するナタリズマブ
Natalizumab for Relapsing Multiple Sclerosis再発性多発性硬化症患者を対象としたこのプラセボ対照無作為化試験では,すべての主要転帰指標と副次的転帰指標について,ナタリズマブ(α4 インテグリン拮抗薬)の有益性が示された.2 年後,障害の持続的な進行の割合は,ナタリズマブ群で 17%,プラセボ群で 29%であった.疲労およびアレルギー反応は,ナタリズマブ群の患者でより多く認められた.
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再発性多発性硬化症に対するナタリズマブとインターフェロンの併用
Natalizumab in Combination with Interferon for Relapsing Multiple Sclerosisインターフェロン治療にもかかわらず再発を起した,再発性多発性硬化症患者を対象としたこの無作為化試験では,ナタリズマブとインターフェロンの併用は,インターフェロン単独よりも有効であった.2 年後,障害の進行が持続する割合は,併用療法では 23%,インターフェロン単独療法では 29%であった.併用療法を受けた 2 例において進行性多巣性白質脳症が発生し,そのうち 1 例は,治療によるこの重篤な合併症のため死亡した.
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ナタリズマブ投与患者における PML の評価
Evaluation of Patients Treated with Natalizumab for PMLナタリズマブの投与を受けた 3 例の患者において,進行性多巣性白質脳症(PML)が報告されている.臨床試験でナタリズマブ投与を受けた患者を対象に PML の系統的評価を行ったところ,追加症例は確認されなかった.この評価集団における PML のリスクは,18 ヵ月間投与を受けた患者で,1,000 例中約 1 例と推定された.より長期にわたるナタリズマブ投与後の PML のリスクについては不明である.
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慢性心房細動に対するカテーテルアブレーション
Catheter Ablation for Chronic Atrial Fibrillation慢性心房細動患者を対象に,左房に入る肺静脈を囲むカテーテルアブレーション(焼灼)について評価した.この手技により,患者の 3/4 で 1 年間洞調律が維持された.症状と左房径がともに減少した.カテーテルアブレーションは,症候性慢性心房細動患者に対する実行可能な選択肢である.
MEDICAL PROGRESS
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多発性硬化症 ― 脱髄斑とその発生機序
Multiple Sclerosis ― The Plaque and Its Pathogenesis多発性硬化症研究の大幅な進歩に伴い,この疾患で発生する炎症,脱髄,神経変性の根底にある中心的機構のいくつかについて,解明がすすんでいる.これに伴い,多発性硬化症の管理に利用できる臨床戦略が拡大しつつある.この総説では,多発性硬化症脱髄斑の炎症性・神経変性要素の発生機序に関する最新の知見に焦点を当てている.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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合併症を探し出す
Search for the Complication58 歳の女性が,長期にわたる発熱と喀血の評価を受けるため入院した.女性は,入院前の 8 ヵ月間に間欠熱,喀痰を伴う咳嗽,息切れ,喀血が続いていたと訴えた.これらの症状については別の病院で評価を受けたという.胸部 CT では,左肺上葉と小舌に末梢性浸潤影,左肺門部に石灰化陰影,さらに小さな縦隔リンパ節が認められた.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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単純ヘルペスウイルス 2 型を黙らせる
Silencing Herpes Simplex Virus 2マウスにおいて,単純ヘルペスウイルス 2 型の遺伝子に特異的な低分子干渉 RNA 断片(small interfering RNA fragments)を腟内投与したところ,感染が阻止された.