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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
March 6, 2008
Vol. 358 No. 10
ORIGINAL ARTICLE
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致死的な移植関連疾患のクラスターにおける新規アレナウイルス
A New Arenavirus in a Cluster of Fatal Transplant-Associated Diseases同じ日に単一のドナーから臓器移植を受けた患者 3 例が,移植の 4~6 週後に熱性疾患のため死亡した.既存の利用可能な技術をすべて用いても,感染性病原体が原因かどうか判明しなかったため,著者らはバイアスのないハイスループット塩基配列決定を行った.推定蛋白質配列の解析により,原因としてドナー由来の新規アレナウイルスが同定された.
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初回抗凝固療法中のワルファリン投与に対する反応の遺伝的決定因子
Genetic Determinants of Response to Warfarin during Initial AnticoagulationCYP2C9 遺伝子および VKORC1 遺伝子の変異型は,患者間におけるワルファリンの抗凝固作用の差に寄与している.ワルファリン療法を開始した 297 例のコホートを対象に,これらの変異型の相対的役割について検討した.両遺伝子は共に,ワルファリンに対する経時的反応に影響を及ぼしたが,初期の反応に有意な影響を及ぼしたのは VKORC1 のハプロタイプのみであった.
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メトカチノン常用者におけるパーキンソン症候群とマンガンの役割
Parkinsonism Syndrome in Methcathinone Users and the Role of Manganeseメトカチノン(プソイドエフェドリンなど,使用者により入手が容易な医薬品から製造される薬物)注射の常用者であるラトビアの成人 23 例を対象としたこの症例集積研究では,患者に錐体外路症候群,血清マンガン濃度の上昇,基底核の MRI 異常所見が認められた.これらの調査結果から,メトカチノンの使用により,メトカチノン溶液に含まれるマンガンが原因の神経毒性が生じる可能性のあることが示唆される.
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NALP5 ― APS-1 の主要な副甲状腺自己抗原
NALP5 - A Major Parathyroid Autoantigen in APS-1多腺性自己免疫症候群 1 型(APS-1)は,自己免疫調節遺伝子 AIRE の変異によって引き起こされる多臓器自己免疫疾患である.著者らは,副甲状腺機能低下症の APS-1 患者の血清検体を用いて,ヒト副甲状腺 cDNA ライブラリーの免疫スクリーニングにより,NACHT ロイシンリッチリピート蛋白 5(NALP5)に対する反応性を同定した.この所見は,NALP5 が APS-1 患者の副甲状腺機能低下症に関与する組織特異的自己抗原であることを示唆している.
CLINICAL PRACTICE
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女性の腹圧性尿失禁
Urinary Stress Incontinence in Women45 歳の女性が,最後の出産以来続く,咳,笑い,くしゃみによる尿漏れを訴えている.女性はその妊娠後に体重が 25 lb(11 kg)増加し,減量できずにいる.3 時間ごとに排尿しており,尿意切迫や夜間頻尿の訴えはない.尿失禁のため,運動教室に参加することができず,性交時にも尿漏れがある.体格指数(BMI)は 28,ルーチンの内診所見は正常である.女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?
MEDICAL PROGRESS
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急性肺塞栓症
Acute Pulmonary Embolism急性肺塞栓症は,急激に発症して予測不可能な場合があり,診断が困難となりうる.治療によって死亡率を低下させることが可能であり,適切な一次予防が通常は有効である.この総説では,血栓が原因の急性肺塞栓症の発症機序,診断,治療に焦点を当てる.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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重大なコミュニケーションの障害
A Key Miscommunication81 歳の女性が,腹部膨満,悪心,嘔吐が増悪したため救急部を受診した.女性はまた,呼吸困難と疲労感を訴え,それらはこの数週間で増悪しているという.うっ血性心不全,僧帽弁閉鎖不全症,高血圧,心房細動,甲状腺機能低下症,消化性潰瘍,抑うつの既往があるが,冠動脈疾患の既往や心臓の手術歴はない.
HEALTH POLICY REPORT
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ケアを調整する ― 医療システム内の危険な旅
Coordinating Care - A Perilous Journey through the Health Care System慢性疾患患者は,さまざまな医療環境においてさまざまな医療提供者から治療を受けることがあり,そうした多様なケアを調整する必要がある.この報告では,ケアの調整の質を評価し,ケアの調整に対する障壁について述べ,米国におけるケアの調整を改善するためのいくつかの解決策について論じる.