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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 14, 2008
Vol. 358 No. 7

ORIGINAL ARTICLE

  • 自閉症に関連するゲノムイベントの再発
    Recurrent Genomic Event Associated with Autism

    自閉症の原因はほとんど明らかにされていない.この研究では,大きなゲノム分節の異常な量が,自閉症スペクトラム障害と関連することが立証された.この分節の欠失または重複領域には 25 の既知遺伝子が含まれており,症例群の約 1%とスクリーニングを受けていない対照群の 0.1%未満で認められた.

  • 再発寛解型多発性硬化症におけるリツキシマブによる B 細胞の消失
    B-Cell Depletion with Rituximab in Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis

    再発寛解型多発性硬化症患者 104 例を対象としたこの第 2 相臨床試験において,1 日目と 15 日目にリツキシマブ投与を受けた患者では,48 週間の追跡期間において,プラセボ投与を受けた患者よりも MRI 上のガドリニウム増強病変数および再発が少なかった.リツキシマブは,初回投与後 24 時間以内の有害事象数がより多いことと関連した.この試験は規模が小さく期間が短すぎたため,頻度の低い有害事象や長期安全性を評価することはできなかった.

  • 血管形成術におけるパクリタキセルの局所投与
    Local Delivery of Paclitaxel during Angioplasty

    無作為化試験において,血管形成術を受ける大腿膝窩動脈疾患患者 154 例を,パクリタキセルで被覆した血管形成バルーンで治療する群,被覆されていないバ ルーンと造影剤に溶解したパクリタキセルを併用する群,被覆されていないバルーンで治療し,パクリタキセルは用いない群(対照治療)のいずれかに無作為に割り付けた.6 ヵ月の時点での遠隔期血管内腔狭小化と再狭窄,および 6 ヵ月,12 ヵ月,24 ヵ月の時点での標的病変の血行再建術は,パクリタキセル被覆バルーンにより有意に減少したが,パクリタキセル含有造影剤では減少しなかった.

  • 超早期産児に対する出生時の経鼻的 CPAP と挿管の比較
    Nasal CPAP or Intubation for Very Preterm Infants

    この試験では,人工換気補助が必要な早期産児を,経鼻的持続気道陽圧(CPAP)換気による初期治療を行い,その後状態が悪化した場合に挿管を行う群と,すぐに挿管および人工換気を行う群のいずれかに無作為に割り付けた.CPAP 群のほうが気胸の頻度が高く,人工換気を行った期間が短かったが,2 群間の死亡率および気管支肺異形成症の発生率に差はなかった.

BRIEF REPORT

  • 中枢性思春期早発症患者における GPR54 の活性化変異
    A GPR54-Activating Mutation in a Patient with Central Precocious Puberty

    G 蛋白質共役型受容体 GPR54 およびそのリガンドであるキスペプチンは,ゴナドトロピン放出ホルモン分泌のための興奮性神経調節システムを構成しており,思春期の発現に重要であると考えられる.この報告では,特発性中枢性思春期早発症の,養子縁組された女児における常染色体優性の GPR54 変異,Arg386Pro について論じている.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 急性下気道感染
    Acute Lower Respiratory Tract Infection

    急性下気道感染は死亡および障害の主要な原因であるが,こうした感染がそれほど強毒化する機序は完全には明らかにされていない.この総説では,炎症の役割と自然免疫システムの反応に重点をおき,これら 2 つのプロセスが肺から微生物を除去するためどのように相互に作用するか,また,病原微生物の除去にあたり,どのようにして肺に危険な状態をもたらしうるのかを説明している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 頸部拘縮を呈する生後 18 ヵ月の女児
    An 18-Month-Old Girl with Neck Contracture

    生後 18 ヵ月の中国人の女児が,生命にかかわる頸部拘縮の治療を求めて受診した.この拘縮は,生後 12 ヵ月時に顔面と体幹に負った熱傷によるものであった.創傷は治癒したが拘縮が残り,その結果,外鼻孔の癒合,小口症,睡眠時無呼吸が生じた.外鼻孔の癒合と小口症のため気管内挿管ができず,瘢痕組織のため気管切開が不可能であった.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • ヒトゲノムの多様性
    Variation in the Human Genome

    大規模なゲノムの欠失・重複・逆位は,人における多様性の要因となっている.このことから,疾患感受性を探る新規アプローチが求められている.