The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 11, 2008
Vol. 359 No. 11

ORIGINAL ARTICLE

  • 変形性膝関節症に対する関節鏡視下手術
    Arthroscopic Surgery for Osteoarthritis of the Knee

    この無作為化試験では,変形性膝関節症に対して至適な理学療法+薬物療法に関節鏡視下手術を併用することの利益は示されず,変形性膝関節症に関節鏡視下手術は適応とはならないというエビデンスが得られた.

  • 中高年者における膝 MRI での偶発的な半月板所見
    Incidental Meniscal Findings on Knee MRI in Middle-Aged and Elderly Persons

    中高年の男女で右膝の MRI 検査を行ったこの横断的研究では,参加者の 1/3 以上で半月板の断裂や損傷(destruction)が確認された.これらの参加者の多くは,前月には膝の痛みやこわばりはなかったと報告した.半月板の損傷は,X 線上で膝関節症の所見が認められる参加者でとくに頻度が高かった.医師は,膝痛を呈する高齢者に対して MRI 検査を実施する際,あるいはその結果を解釈する際に,偶発的な半月板所見がみられる割合が高いことを考慮すべきである.

  • 頭頸部癌に対するプラチナ製剤を中心とした化学療法+セツキシマブ
    Platinum-Based Chemotherapy plus Cetuximab in Head and Neck Cancer

    進行頭頸部癌の治療に関するこの無作為化試験では,上皮成長因子受容体に対する抗体であるセツキシマブを標準療法(プラチナ製剤を中心とした化学療法)に追加して,その有効性を検証した.標準化学療法のみの場合と比較して,セツキシマブを追加した化学療法では全生存期間の中央値が約 3 ヵ月延長した.

BRIEF REPORT

  • NHERF1 の変異と腎臓における副甲状腺ホルモンの反応性
    NHERF1 Mutations and Responsiveness of Renal Parathyroid Hormone

    尿細管からのリン再吸収が障害されると,腎石症と骨脱灰のリスクが増加する.動物研究のデータに基づくと,ナトリウム-水素交換輸送体調節因子 1(NHERF1)が腎臓でのリン輸送を制御していると考えられる.著者らは,腎石症または骨脱灰がみられる患者の NHERF1 の遺伝子配列を決定し,3 つの変異を同定した.これらの変異は,ヒト腎におけるリン喪失のこれまで認識されていなかった原因であることが示唆された.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 子宮内膜症に対するゴナドトロピン放出ホルモン作動薬
    Gonadotropin-Releasing Hormone Agonists for Endometriosis

    子宮内膜症と推定診断されていた 36 歳の女性が,経口避妊薬やメドロキシプロゲステロンでは軽減されない長期にわたる骨盤痛で受診した.ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬による治療が推奨されている.ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬は,ゴナドトロピンの分泌と性ステロイドの産生を大幅に抑制する.副作用には,骨密度低下や記憶障害などがある.

MEDICAL PROGRESS

  • 頭頸部癌に関する最近の進歩
    Recent Advances in Head and Neck Cancer

    頭頸部の扁平上皮癌の発症数は全世界で毎年 50 万例を超えており,発生部位は主に中咽頭,口腔,下咽頭,喉頭である.この総説では,中咽頭癌の危険因子としてのヒトパピローマウイルスとの関連など,これらの腫瘍の生物学的特徴について考察している.管理方法とともに新たな治療法について考える.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 先天性難聴,嗜眠,低体温を呈する乳児
    An Infant with Congenital Deafness, Lethargy, and Hypothermia

    8 歳の男児が脱力と嗜眠のため当院に入院した.この男児は,呼吸困難のため生後しばらく入院しており,感音性難聴が認められたが,その他の生後の経過は正常であった.入院前日に呻吟呼吸を伴う嗜眠と低体温を呈し,他院で行われた腰椎穿刺で脳脊髄液中に血液が認められ,当院に搬送された.画像検査によって脳内出血と浮腫が判明した.昏睡状態に陥り,この乳児は入院 5 日目に死亡した.剖検が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 考えを行動に移す
    Turning Thought into Action

    2 匹のサルを,ロボットアームを操って自力で餌を取るよう,運動皮質に埋め込んだ電極を用いて訓練した.