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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
July 30, 2009
Vol. 361 No. 5
ORIGINAL ARTICLES
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肥満手術の長期的評価における周術期の安全性
Perioperative Safety in the Longitudinal Assessment of Bariatric Surgeryこの多施設共同前向き観察研究では,肥満手術を受けた一連の患者を対象に,術後 30 日間の複合エンドポイント(死亡,静脈血栓塞栓症,再介入,退院できなかったこと)について検討した.死亡と有害転帰の全体的なリスクは低かったが,体格指数が極度に高い患者や,特定の疾患を有する患者ではリスクが高かった.肥満手術の短期的な安全性は,長期的効果や極度の肥満に伴うリスクとあわせて検討すべきである.
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熱帯熱マラリア原虫マラリアにおけるアルテミシニン耐性
Artemisinin-Resistance in Plasmodium falciparum Malaria世界の多くの地域で,マラリアに対する第一選択療法はアルテミシニン療法である.この薬剤クラスへの耐性が,マラリアの治療・管理において新たな問題となっている.タイとカンボジアで行われた 2 件の試験において,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のアーテスネートに対する in vivo 感受性が低下していることが,寄生虫クリアランスに要する時間の長さから明らかにされた.
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マラリアのスポロゾイト接種による攻撃接種に対する感染防御
Protection against a Malaria Challenge by Sporozoite Inoculation効果的なマラリアワクチンの必要性は高く,現在検討中の主要戦略は,スポロゾイト周囲蛋白を用いたものである.この初期段階の研究では,著者らは,蚊の刺咬により送達される,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の NF54 株由来の弱毒化スポロゾイトワクチンを用いた新しい戦略をとった.このワクチンにより,同一株の攻撃接種から防御されることが明らかになった.
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幹細胞移植後の白血病におけるミスマッチ HLA の消失
Loss of Mismatched HLA in Leukemia after Stem-Cell Transplantation急性骨髄性白血病患者 5 例がハプロタイプ一致ドナーから造血幹細胞移植を受け,同時にそのドナーから T 細胞の輸注を受けた.5 例全例で再発がみられたが,再発時に行った白血病芽球のゲノムの HLA タイピングでは,ドナーのものとは異なる HLA ハプロタイプが検出できなかった.このハプロタイプの消失は,片親性ダイソミーに起因していた.in vitro でドナー T 細胞は,診断時に採取した白血病芽球には反応したが,再発時に採取した芽球には反応しなかった.この結果から,白血病細胞がドナー T 細胞による免疫監視機構から逃れられるような変異が生じることが示された.
BRIEF REPORT
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変異型 AGC1 と髄鞘形成不全
Variant AGC1 and Hypomyelinationミトコンドリアのアスパラギン酸-グルタミン酸担体アイソフォーム ME 1(AGC1)は,中枢神経系のニューロンへのエネルギー供給に重要と考えられている分子である.この研究では,AGC1 の変異体が発育遅滞,筋緊張低下,てんかん,髄鞘形成不全に関連していることが示されている.
MECHANISMS OF DISEASE
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乾癬
Psoriasisこの総説は,乾癬病変の病理学的特徴,乾癬に関する最近の遺伝学的研究,乾癬の免疫学的因子に焦点を当てている.乾癬病変の進展には,環境的要因と遺伝的要因との複雑な相互作用が伴い,そしてそれが,樹状細胞と T 細胞を活性化する一連の事象が起こる環境を作る.上皮細胞と免疫細胞の相互干渉により,炎症を起こす環境が形成・維持される.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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頸部に有痛性の腫脹をきたした女性
A Woman with Painful Swelling of the Neck26 歳の女性が,頸部に有痛性の腫脹があり,口渇と体重減少もみられたため,リウマチ科に紹介された.身体診察で,両側頸部に顎下腺腫脹が認められた.抗核抗体(ANA)検査は陽性で,血清補体価は低かった.Ro 抗原と La 抗原に対する抗体検査は陰性であった.診断手技が行われた.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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マラリア原虫と血小板
Plasmodium and the Plateletマウスモデルを用いた研究で,マラリア原虫に感染した赤血球-血小板の相互作用により,寄生虫血症は抑制されるが,脳感染症は増悪することが示された.