The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 12, 2010
Vol. 363 No. 7

ORIGINAL ARTICLE

  • 透析の早期開始と後期開始の比較
    Early versus Late Initiation of Dialysis

    この研究では,進行性の慢性腎臓病で,推定糸球体濾過量が 10.0~15.0 mL/分/1.73 m2 体表面積(ステージ 5 の慢性腎臓病)の成人患者を,早期透析開始群と後期透析開始群のいずれかに無作為に割り付けた.透析の早期開始は,生存率や臨床転帰の改善に関連しなかった.

  • 進行性特発性肺線維症に対するシルデナフィル
    Sildenafil for Advanced Idiopathic Pulmonary Fibrosis

    進行性特発性肺線維症患者に,シルデナフィルまたはプラセボを投与し,比較した.シルデナフィル群には有意ではないが改善傾向が認められ,生理学的評価項目や症状スコアにある程度の有益性が認められた.

  • 劣性栄養障害型表皮水疱症に対する骨髄移植
    Bone Marrow Transplantation for Recessive Dystrophic Epidermolysis Bullosa

    VII 型コラーゲン(C7)をコードする遺伝子 COL7A における機能喪失変異に起因する重度表皮水疱症の患児 7 例において,骨髄幹細胞の使用を検討した.骨髄移植により,C7 沈着の増加,皮膚におけるドナー細胞の存在,症状の改善が認められた.

  • ホジキンリンパ腫に対する治療強度
    Treatment Intensity in Hodgkin's Lymphoma

    早期ホジキンリンパ腫の患者において,抗腫瘍効果を損なうことなく治療強度を低減できるかどうかが検討された.ABVD の化学療法の 2 サイクル投与と 4 サイクル投与に,患部への 20 Gy または 30 Gy の放射線照射を組み合わせて比較した結果,最大強度のレジメンと最小強度のレジメンとで,無病生存率や全生存率に有意差は認められなかった.

CURRENT CONCEPTS

  • 早期ホジキンリンパ腫
    Early-Stage Hodgkin's Lymphoma

    この論文では,早期ホジキンリンパ腫患者の治療に関する問題をまとめている.長期の追跡調査により,治療法を併用した患者に,合併症リスクの増加が認められた.

INTERACTIVE MEDICAL CASE

  • 妊娠しにくい
    Hard to Conceive

    ネパール出身の 31 歳の女性が,この 18 ヵ月間に妊娠を試みたが成功せず,主治医を受診した.女性には性感染症,骨盤内炎症性疾患,子宮内避妊器具の使用,ジエチルスチルベストロールへの曝露,パパニコロー検査での異常,妊娠歴はない.あなたならどのような診断と治療処置を選択しますか? NEJM.org において,この症例の検査を指示してご自身の診断・治療技術を確認し,ほかの方と比較してください.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • ホジキンリンパ腫の既往があり突然呼吸困難とショックをきたした女性
    A Woman with a History of Hodgkin's Lymphoma and Sudden Onset of Dyspnea and Shock

    56 歳の女性が,突然呼吸困難と低血圧を発症して入院した.女性は 16 歳のとき,ホジキンリンパ腫に対して多剤併用化学療法と広範囲放射線治療を受けていた.入院時に,心電図で急性心筋梗塞が認められた.ステントを留置したが,低血圧とアシドーシスが持続し女性は死亡した.

SOUNDING BOARD

  • 医療の質向上に向けた説明責任の指標
    Accountability Measures to Promote Quality

    著者は,医療の質の評価指標には,次の要素が必要であると主張している;ケアのプロセスが転帰を直接的に改善するという強力なエビデンスに基づくこと,プロセスの実際の成績を捕捉すること,望ましい転帰に直結するプロセスを対象とすること,予期せぬ有害転帰を含めないこと.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 血管切開と敗血症
    Vascular Dissection and Sepsis

    3 匹の敗血症モデルマウスの分子解剖により,血液漏出を防ぐための内皮細胞の接着の維持にはシグナル伝達経路が関与していることが示された.