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March 20, 2003 Vol. 348 No. 12

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急性冠症候群における可溶性 CD40 リガンド
Soluble CD40 Ligand in Acute Coronary Syndromes

C. Heeschen and Others

背景

CD40 リガンドは,血小板上に発現し,活性化に伴って血小板から遊離する.急性冠症候群患者における,糖蛋白 IIb/IIIa 受容体阻害の治療効果および臨床転帰のマーカーとしての,可溶性 CD40 リガンドの予測能を検討した.

方 法

冠動脈再建術の前にアブシキシマブとプラセボを比較する無作為試験に登録していた急性冠症候群患者 1,088 例と,急性胸痛患者 626 例で,血清中可溶性 CD40 リガンド濃度を測定した.

結 果

可溶性 CD40 リガンド濃度は,急性冠症候群患者 221 例(40.6%)で上昇していた(>5.0 μ g/L).プラセボ群では,可溶性 CD40 リガンド濃度の上昇は,追跡期間 6 ヵ月間における死亡あるいは非致命的な心筋梗塞のリスクの有意な上昇を示していた(CD40 リガンド濃度が低い患者[≦5.0 μ g/L]と比較した補正ハザード比 2.71;95%信頼区間 1.51~5.35;P=0.001).胸痛患者でこのマーカーの予後予測能が確認された.すなわち,可溶性 CD40 リガンド濃度の上昇で,死亡や非致命的な心筋梗塞のリスクが高い急性冠症候群患者が同定された(CD40 リガンド濃度が低い患者と比較した補正ハザード比 6.65;95%信頼区間 3.18~13.89;P<0.001).可溶性 CD40 リガンド濃度が上昇している患者におけるリスクの増大は,アブシキシマブを用いた治療で有意に減少したが(プラセボ群と比較した補正ハザード比 0.37;95%信頼区間 0.20~0.68;P=0.001),可溶性 CD40 リガンド濃度が低い患者では,アブシキシマブは有意な治療効果がなかった.

結 論

不安定冠動脈疾患の患者では,可溶性 CD40 リガンド濃度の上昇は,心血管疾患のリスクが上昇していることを示唆していた.可溶性 CD40 リガンド濃度の上昇は,アブシキシマブを用いた抗血小板療法により利益を得る可能性のある,高リスク患者群を同定した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1104 - 11. )