The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 9, 2003 Vol. 348 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ペルーのリマにおける多剤耐性結核に対する地域ベースの治療
Community-Based Therapy for Multidrug-Resistant Tuberculosis in Lima, Peru

C. Mitnick and Others

背景

調査が行われた大半の低所得国においては多剤耐性結核が流行しているにもかかわらず,有効な治療は高価すぎて,専門施設以外ではこれまで実施されてこなかった.われわれは,ペルーの首都リマの貧困地域における多剤耐性結核に対する地域ベースの治療の結果を評価した.

方 法

リマ北部において,最初の患者 75 例に,慢性の多剤耐性結核に対する個別のレジメンを用いた外来治療を受けることを説明した.1996 年 8 月 1 日~1999 年 2 月 1 日のあいだに,プログラムに参加した患者全員のカルテに対する後ろ向きの検討を行い,転帰不良の予測因子を同定した.

結 果

ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の感染株は,中央値で 6 種の薬剤に対し耐性を示した.4 ヵ月以上の治療を完了した患者 66 例のうち,83%(55 例)は治療完了時点でほぼ確実に治癒した.これらの患者 66 例中 5 例(8%)は,治療期間中に死亡した.患者 1 例のみが,6 ヵ月の治療後も培養で陽性を示した.治療に失敗,または死亡した患者は全員,広範囲の両側肺病変があった.多重 Cox 比例ハザード回帰モデルでは,治療の失敗または死亡までの時間の予測因子は,低ヘマトクリット値(ハザード比 4.09;95%信頼区間 1.35~12.36)および低体格指数であった(ハザード比 3.23;95%信頼区間 0.90~11.53).ピラジナミドとエタンブトールを含む治療レジメンは(感受性が確認された場合),良好な転帰と関連していた(治療の失敗または死亡に対するハザード比 0.30;95%信頼区間 0.11~0.83).

結 論

多剤耐性結核に対する地域ベースの外来治療は,医療資源の乏しい状況でも高い治癒率をもたらすことができる.適切な治療の早期開始により,第一選択薬への感受性を維持し,治療転帰を改善することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 119 - 28. )