April 10, 2003 Vol. 348 No. 15
再発性静脈血栓症予防のための長期低用量ワルファリン療法
Long-Term, Low-Intensity Warfarin Therapy for the Prevention of Recurrent Venous Thromboembolism
P.M. Ridker and Others
再発性静脈血栓症を予防するための標準療法では,国際標準比(INR)2.0~3.0 を目標とし,十分量のワルファリンを 3~12 ヵ月間投与する.しかし長期管理については,どの治療薬も許容可能な利益対リスク比を示していない.
十分量の抗凝固療法を中央値 6.5 ヵ月間受けた特発性静脈血栓塞栓症患者を,プラセボまたは低用量ワルファリン(目標 INR 1.5~2.0)に無作為に割付けた.再発性静脈血栓塞栓症,大出血,死亡について,試験参加者を追跡した.
508 例を無作為化し,最長 4.3 年間(平均 2.1 年)追跡した後,試験を早期に終了した.プラセボ群の 253 例中 37 例(年間 100 例当り 7.2 例)に再発性静脈血栓塞栓症がみられたのに対し,低用量ワルファリン群では 255 例中 14 例(年間 100 例当り 2.6 例)にみられ,リスク低下は 64%であった(ハザード比 0.36;95%信頼区間 0.19~0.67;P<0.001).リスク低下は遺伝性血栓傾向のある患者とない患者を含め,すべてのサブグループで同程度であった.プラセボ群の 2 例と低用量ワルファリン群の 5 例に大出血が起きた(P=0.25).プラセボ群の 8 例と低用量ワルファリン群の 4 例が死亡した(P=0.26).したがって,低用量ワルファリンに関連して,再発性静脈血栓塞栓症,大出血,死亡の複合エンドポイントが 48%低下した.実際のプロトコルや治療に基づく解析によると,再発性静脈血栓塞栓症のリスク低下は 76~81%であった.
長期低用量ワルファリン療法は,再発性静脈血栓症予防にきわめて有効性の高い方法である.