April 10, 2003 Vol. 348 No. 15
アテローム性動脈硬化症と静脈血栓症との関連性
An Association between Atherosclerosis and Venous Thrombosis
P. Prandoni and Others
静脈血栓塞栓症患者の約 1/3 では,その原因は不明である.アテローム性動脈硬化症患者では,血小板と血液凝固の活性化やフィブリンの代謝回転の増加がみられるが,これらは血栓性合併症をもたらす可能性がある.アテローム性動脈硬化症が静脈血栓症リスクの増加と関連しているかどうかは,不明である.
症候性のアテローム性動脈硬化症ではないが,脚部に深部静脈血栓症を有する任意抽出の患者 299 例と対照被験者 150 例に対し,頸動脈の超音波検査を実施した.特発性血栓症患者,後天的な危険因子による続発性血栓症患者,および対照被験者を,プラークの有無について評価した.
特発性血栓症患者 153 例中 72 例(47.1%;95%信頼区間 39.1~55.0),続発性血栓症患者 146 例中 40 例(27.4%;95%信頼区間 20.2~34.6),対照被験者 150 例中 48 例(32.0%;95%信頼区間 24.5~39.5)で,1 個以上の頸動脈プラークが検出された.続発性血栓症患者または対照被験者と比較した特発性血栓症患者の頸動脈プラークのオッズ比は,それぞれ 2.3(95%信頼区間 1.4~3.7)と 1.8(95%信頼区間 1.1~2.9)であった.アテローム性動脈硬化症の危険因子を補正した多変量解析でも,この関連性の強さは変らなかった.
アテローム性動脈硬化症と特発性静脈血栓症には関連性がある.アテローム性動脈硬化症が静脈血栓症を誘発するか,あるいはこの 2 つの病態が共通の危険因子をもつ可能性がある.