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January 2, 2003 Vol. 348 No. 1

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再発性多発性硬化症に対する Natalizumab の比較対照試験
A Controlled Trial of Natalizumab for Relapsing Multiple Sclerosis

D.H. Miller and Others

背景

多発性硬化症患者では,炎症性の脳病変は,活性化したリンパ球や単球が関与する自己免疫反応に起因すると考えられている.糖蛋白である α4 インテグリンは,これらの細胞表面に発現し,血管内皮への接着や実質への移動において重要な役割を担う.natalizumab は,実験モデルや多発性硬化症患者での予備研究において脳病変の発現を減少させた,α4 インテグリン拮抗薬である.

方 法

無作為二重盲検試験において,再発寛解型または再発性二次性進行型多発性硬化症の患者,計 213 例を,体重 1 kg 当り 3 mg の natalizumab の静脈内投与(68 例),体重 1 kg 当り 6 mg の natalizumab の静脈内投与(74 例),またはプラセボ(71 例)のいずれかに割付け,28 日ごとに 6 ヵ月間投与した.主要エンドポイントは,6 ヵ月の治療期間中に毎月行ったガドリニウム造影磁気共鳴画像法にみられる新たな脳病変の数であった.臨床転帰には,再発と健康状態に関する自己申告を含めた.

結 果

natalizumab 投与の両群で,新規病変の平均個数が顕著に減少した:プラセボ群では患者 1 例当り 9.6 個であったのに対し,体重 1 kg 当り 3 mg の natalizumab を投与した群では 0.7 個(P<0.001),体重 1 kg 当り 6 mg の natalizumab を投与した群では 1.1 個(P<0.001)であった.プラセボ群患者では 27 例が再発したのに対し,体重 1 kg 当り 3 mg の natalizumab を投与した群では 13 例(P=0.02),体重 1 kg 当り 6 mg の natalizumab を投与した群では 14 例であった(P=0.02).プラセボ群では,健康状態に関する申告はわずかに悪化したが(100 mm の視覚アナログスケールでは 1.38 mm の平均減少),一方 natalizumab 群の申告は改善した(体重 1 kg 当り 3 mg の natalizumab を投与した群では 9.49 mm の平均増加,体重 1 kg 当り 6 mg の natalizumab を投与した群では 6.21 mm の平均増加).

結 論

再発性多発性硬化症患者におけるプラセボ比較対照試験で,natalizumab による治療は,6 ヵ月の期間で炎症性の脳病変をより少なくさせ,再発をより減少させた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 15 - 23. )