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January 2, 2003 Vol. 348 No. 1

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活動性クローン病に対する Natalizumab
Natalizumab for Active Crohn's Disease

S. Ghosh and Others

背景

クローン病のような慢性炎症病態では,白血球の血液循環から実質への移動と炎症部位内での活性化に,ある程度 α4 インテグリンが媒介している.

方 法

中等度から重度のクローン病患者 248 例を対象に,α4 インテグリン特異的ヒトモノクローナル抗体である natalizumab に対する二重盲検プラセボ比較対照試験を行った.患者は,4 療法のうちの 1 つに無作為に割付けられた;プラセボの静脈内投与 2 回,体重 1 kg 当り 3 mg の natalizumab 静脈内投与 1 回とそれに続くプラセボ投与,体重 1 kg 当り 3 mg の natalizumab 静脈内投与 2 回,または体重 1 kg 当り 6 mg の natalizumab 静脈内投与 2 回であった.静脈内投与は,4 週間おきに行われた.転帰には,クローン病活動指数(Crohn's Disease Activity Index,高スコアはより重度の疾患を示す)のスコアの変化,健康関連 QOL,C 反応性蛋白濃度が含まれた.

結 果

体重 1 kg 当り 6 mg の natalizumab 静脈内投与を 2 回受けた群では,6 週での臨床寛解率(有効性の分析で,事前に定義した主要エンドポイント.クローン病活動指数のスコアが 150 未満と定義)はプラセボ群と比べて有意に高くなかった.しかし,natalizumab の静脈内投与を 2 回受けた両群では,複数の時点で寛解率がプラセボ群より高かった.また,natalizumab は反応率(クローン病活動指数のスコアにおける最低 70 点の減少と定義)においても有意な改善をもたらした.最高寛解率は 44%であり,最高反応率は 71%であった(体重 1 kg 当り 3 mg の natalizumab 静脈内投与を 2 回行った群の 6 週目).全体的に,体重 1 kg 当り 3 mg と 6 mg の natalizumab 静脈内投与を 2 回行った群では,同程度の効果があった.QOL はすべての natalizumab 群で向上した;C 反応性蛋白濃度は,natalizumab 静脈内投与を 2 回受けた群で改善した.有害事象の発生率は,4 群すべてで同程度であった.

結 論

選択的接着分子抑制剤である natalizumab による治療は,臨床寛解率や反応率を上昇させ,QOL や C 反応性蛋白濃度を改善し,また,活動性クローン病患者で十分忍容性があった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 24 - 32. )