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May 8, 2003 Vol. 348 No. 19

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QT 延長症候群におけるリスクの層別化
Risk Stratification in the Long-QT Syndrome

S.G. Priori and Others

背景

カリウムチャネル遺伝子 KCNQ1(LQT1 座)と KCNH2(LQT2 座),およびナトリウムチャネル遺伝子 SCN5A(LQT3 座)の突然変異は,QT 延長症候群でもっともよくみられる原因である.われわれは,性別や QT 間隔の長さといった臨床変数と併せて,遺伝子型によってリスクを層別化した.

方 法

QT 延長症候群を有し,連続して遺伝子型を特定した 193 の家族において,患者 647 例(386 例は LQT1 座に,206 例は LQT2 座に,55 例は LQT3 座に突然変異を有する)を評価した.最初の心イベントの累積確率を,遺伝子型,性別,心拍数で補正した QT 間隔(QTc)より算出した.心イベントは,40 歳未満で治療開始前に発生した失神,心停止,あるいは突然死と定義した.各遺伝子型内で,性別と QTc(<500 msec または≧500 msec)の組み合せに基づく 4 カテゴリーにおけるリスクも評価した.

結 果

40 歳未満で治療開始前に発現した最初の心イベントの発生率は,LQT1 座に突然変異を有する患者(30%)において,LQT2 座に突然変異を有する患者(46%)や LQT3 座に突然変異を有する患者(42%)より低かった(Fisher の正確確率検定の P<0.001).多変量解析では,遺伝子座と QTc はリスクの独立した予測因子であったが,性別は予測因子ではないことが明らかとなった.QTc は,LQT1 座や LQT2 座に突然変異を有する患者ではリスクの独立した予測因子であったが,LQT3 座に突然変異を有する患者では予測因子ではなかった.一方性別は,LQT3 座に突然変異を有する患者においてのみ,イベントの独立した予測因子であった.

結 論

原因となる突然変異の遺伝子座は,QT 延長症候群の臨床経過に影響を及ぼし,臨床症状に対する QTc や性別の影響を修飾する.われわれはこれらの変数に基づいたリスク層別化への取り組みを提案する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 1866 - 74. )