The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 5, 2003 Vol. 348 No. 23

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

1 型糖尿病における微量アルブミン尿の消退
Regression of Microalbuminuria in Type 1 Diabetes

B.A. Perkins and Others

背景

この研究は,微量アルブミン尿のある 1 型糖尿病患者で尿中アルブミン排泄量が有意に減少する頻度と,こうした減少に影響する因子を明らかにすることを目的とした.

方 法

この研究では,はじめの 2 年の評価期間中に尿中アルブミン排泄量を反復して測定した値(アルブミン/クレアチニン比を基に概算)が 30~299 μg/分の範囲にあることで定義された,持続性微量アルブミン尿の患者 386 例を対象とした.その後 6 年間の測定値は 2 年分ごとに分け,平均値を求め,微量アルブミン尿の消退について解析した.微量アルブミン尿の消退は,ある 2 年の期間から次の 2 年の期間で尿中アルブミン排泄量が 50%減少した場合と定義した.

結 果

微量アルブミン尿の消退はよくみられ,6 年間の累積発生率は 58%(95%信頼区間 52~64%)であった.アンジオテンシン変換酵素阻害剤の使用は,微量アルブミン尿の消退に関連しなかった.しかし短期間の微量アルブミン尿,正常レベルの糖化ヘモグロビン(8%未満),収縮期血圧低値(115 mmHg 未満),コレステロール低値(198 mg/dL [5.12 mmol/L] 未満),およびトリグリセリド低値(145 mg/dL [1.64 mmol/L] 未満)は,微量アルブミン尿の消退に独立して関連した.修飾因子すべてが正常レベルの患者は,修飾因子のいずれかが正常レベルにない患者と比較し,消退に対するハザード比が 3.0(95%信頼区間 1.5~6.0)であった.

結 論

1 型糖尿病患者で微量アルブミン尿の消退がよくみられることは,尿中アルブミン排泄量の増加が必ずしも進行性腎症を意味しないことを示している.微量アルブミン尿の消退に対する複数の決定因子を同定することは,早期糖尿病性腎症の機序に関する現在の仮説に影響を与える.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 2285 - 93. )