The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 23, 2003 Vol. 348 No. 4

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

環境からの鉛曝露と非糖尿病患者における慢性腎疾患の進行
Environmental Lead Exposure and Progression of Chronic Renal Diseases in Patients without Diabetes

J.-L. Lin, D.-T. Lin-Tan, K.-H. Hsu, and C.-C. Yu

背景

これまでの研究から,環境からの鉛曝露が,加齢に伴う腎機能の低下と相関していることが示唆されている.

方 法

体内の総鉛量が正常で,鉛への曝露経験のない慢性腎機能不全患者 202 例(血清クレアチニン濃度が 1.5~3.9 mg/dL)を,24 ヵ月間観察した.観察期間後,体内の鉛量が増加した被験者 64 例を,キレート化群と対照群に無作為に割付けた.3 ヵ月間,キレート化群の患者は,EDTA カルシウム 2 ナトリウムを用いた鉛キレート療法を受け,対照群の患者はプラセボを投与された.その後 24 ヵ月間,体内鉛量が正常値~高値の患者 32 例(80 μ g 以上 600 μ g 未満)に対し,反復検査で体内鉛量が 60 μ g 未満に低下しない限り,反復キレート療法を週 1 回行った;残りの 32 例を対照群とし,6 ヵ月ごとに 5 週間週 1 回のプラセボ投与を行った.主要エンドポイントは,観察期間中に血清クレアチニン濃度が試験開始値の 1.5 倍に増加することとした.副次的エンドポイントは,介入期間中の腎機能の変化とした.

結 果

主要エンドポイントは,観察期間中患者 24 例に認められた;試験前の血清クレアチニン濃度と体内鉛量が,もっとも重要な危険因子であった.キレート療法を受けた患者では,27 ヵ月の介入期間終了までに糸球体濾過率が有意に改善された:キレート化群患者での糸球体濾過率の平均(± SD)変化は,体表面積 1.73 m2 当り 2.1±5.7 mL/分であり,これに比べて対照群では体表面積 1.73 m2 当り-6.0±5.8 mL/分であった(P<0.001).24 ヵ月間の反復キレート療法またはプラセボ投与期間中の糸球体濾過率の低下率も,キレート化群は対照群より低かった.

結 論

環境からの低濃度の鉛曝露は,慢性腎疾患の非糖尿病患者における進行性腎機能不全を促進する可能性がある.反復キレート療法は,腎機能を改善し腎機能不全の進行を遅らせることができるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 277 - 86. )