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January 2, 2003 Vol. 348 No. 1

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ハレルフォルデン–スパッツ症候群の遺伝的,臨床的および X 線所見の特徴
Genetic, Clinical, and Radiographic Delineation of Hallervorden–Spatz Syndrome

S.J. Hayflick and Others

背景

ハレルフォルデン–スパッツ症候群は,常染色体劣性疾患であり,失調,パーキンソニズム,および脳における鉄の沈着が特徴である.この疾患の患者の多くは,パントテン酸キナーゼ 2(PANK2)をコードする遺伝子に突然変異がある;これらの患者はパントテン酸キナーゼ関連神経変性を呈するといわれている.この研究では,ハレルフォルデン–スパッツ症候群患者のうち,PANK2 に突然変異がある患者とない患者の,臨床上および X 線所見上の特徴を比較した.

方 法

ハレルフォルデン–スパッツ症候群の診断を受けた 98 家族の患者 123 例を,臨床評価に基づき,典型的な疾患(早期に発症し,進行が速いのが特徴)または非定型疾患(発症が遅く,進行が遅いのが特徴)に分類した.PANK2 突然変異を調べるため,患者のゲノム DNA の配列を決定した.

結 果

典型的なハレルフォルデン–スパッツ症候群患者全例と,非定型疾患患者の 1/3 が,PANK2 突然変異を有していた.非定型疾患患者でのほぼすべての突然変異はアミノ酸の変異につながっていたが,典型的な疾患患者では,予想される蛋白質の切断が起きていることのほうが多かった.PANK2 突然変異が存在する非定型疾患患者は,典型的な疾患患者および突然変異のない非定型疾患患者に比べて,顕著な言語関連症状および精神症状を示すことがより多かった.パントテン酸キナーゼ関連神経変性を有する全患者は,典型的・非定型疾患のいずれも,脳の T2 強調磁気共鳴画像(MRI)で,低信号域である内側淡蒼球内に,高信号を示す特有のパターンを示した.このパターンは突然変異のない患者には認められなかった.

結 論

PANK2 突然変異は,典型的なハレルフォルデン–スパッツ症候群の全例および非定型疾患の 1/3 に関連している.特有の MRI パターンにより,PANK2 突然変異を有する患者を区別できる.パントテン酸キナーゼ 2 蛋白質の予測濃度は,疾患の重症度と相関している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 33 - 40. )