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December 4, 2003 Vol. 349 No. 23

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インターロイキン 10 プロモーターの多型と造血細胞移植後の移植片対宿主病および生存との関係
Relation of an Interleukin-10 Promoter Polymorphism to Graft-versus-Host Disease and Survival after Hematopoietic-Cell Transplantation

M.-T. Lin and Others

背景

サイトカイン遺伝子の多型は,免疫反応,炎症,組織損傷に影響を及ぼすことがあるため,造血幹細胞移植の転帰に影響する可能性がある.

方 法

移植レシピエントおよびその HLA 一致同胞ドナー 570 組において,インターロイキン 1β ,インターロイキン 1 受容体アンタゴニスト,インターロイキン 6,インターロイキン 10(IL10),および腫瘍壊死因子α の遺伝子における一塩基多型を解析した.多変量解析を用いて,移植片対宿主病(GVHD)との関連について遺伝子型を検定した.第 1 コホートで同定された遺伝子型との関連性について,移植レシピエント 423 例から成る第 2 コホートを別個に解析した.

結 果

レシピエントの IL10 プロモーター領域の遺伝子型は,第 1 コホートにおいて急性 GVHD のリスクと有意に関連していた.移植レシピエント 993 例すべての解析で,C/C 遺伝子型と比較し,IL10 –592A/A 遺伝子型は,グレード III または IV の急性 GVHD のリスクの減少(ハザード比 0.4;95%信頼区間 0.2~0.9;P=0.02)および寛解期の死亡の減少(ハザード比 0.6;95%信頼区間 0.3~1.0;P=0.05)に関連することが示された.ハプロタイプ解析により,IL10 –592A 対立遺伝子は,それぞれ –3575,–2763,–1082,–819,–592 に存在する 5 つの多型により定義されるプロモーターハプロタイプ,T-C-A-T-A の特異的マーカーであることが明らかになった.

結 論

HLA 一致同胞からの造血細胞のレシピエントにおいて,IL10 –592A 対立遺伝子は,移植後の転帰が良好なことを示すマーカーである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 2201 - 10. )