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December 18, 2003 Vol. 349 No. 25

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全身性エリテマトーデスにおける若年性冠動脈粥状硬化症
Premature Coronary-Artery Atherosclerosis in Systemic Lupus Erythematosus

Y. Asanuma and Others

背景

若年性冠動脈疾患は全身性エリテマトーデス(SLE)患者における疾患と死亡の主因であるが,冠動脈粥状硬化の有病率,程度,原因についてはほとんどわかっていない.

方 法

SLE 患者 65 例(平均年齢 [±SD] 40.3±11.6 歳)および冠動脈疾患の既往がない対照被験者 69 例(平均年齢 42.7±12.6 歳)における冠動脈石灰化の存在をスクリーニングするため,電子ビームコンピュータ断層撮影を行った.石灰化が検出された場合は,その程度を Agatston スコアを用いて評価した.冠動脈疾患に対する危険因子の頻度を患者と対照群で比較し,患者の臨床的特徴と冠動脈石灰化の有無との関係を調べた.

結 果

両群は年齢,人種,性別に関してほぼ同様であった.冠動脈石灰化の頻度は SLE 患者(65 例中 20 例)で対照被験者(69 例中 6 例)よりも高かった(P=0.002).平均石灰化スコアは患者群で 68.9±244.2,対照群で 8.8±41.8(P<0.001)であった.SLE 患者の総コレステロール値,高比重リポ蛋白コレステロール値,低比重リポ蛋白コレステロール値は上昇していなかったが,トリグリセリド値(P=0.02)とホモシステイン値(P<0.001)は上昇していた.SLE 患者において,疾患活動性の指標は冠動脈石灰化がある患者とない患者で同等であったが,石灰化がある患者はより高齢で(P<0.001),男性(P=0.008)である傾向が高かった.

結 論

SLE 患者では,冠動脈粥状硬化症の有病率が上昇しており,発症時の年齢が低下している.粥状硬化症の早期発見により,治療介入の機会が得られる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 2407 - 15. )