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January 15, 2004 Vol. 350 No. 3

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冠動脈疾患患者におけるポリマーベースのパクリタキセル溶出ステント
A Polymer-Based, Paclitaxel-Eluting Stent in Patients with Coronary Artery Disease

G.W. Stone and Others

背景

冠動脈ステント留置後の再狭窄によって,経皮的あるいは外科的な血行再建が繰り返し必要になる.血管損傷部位にパクリタキセルを送達させることで,新生内膜過形成や再狭窄の発症率が減少する可能性がある.

方 法

米国の 73 ヵ所の医療施設において,1 ヵ所の未治療冠動脈狭窄(血管径 2.5~3.75 mm,病変長 10~28 mm)にステント留置術を受ける予定の患者 1,314 例を前向き無作為二重盲検試験に登録した.患者計 652 例を無塗装金属ステントに,662 例を外観が同一のポリマーベースの徐放性パクリタキセル溶出ステントに無作為に割付けた.患者 732 例について,事前に 9 ヵ月後の血管造影による追跡調査を規定した.

結 果

ベースライン時の特性に関して,両群はよく一致していた.患者の 24.2%が糖尿病に罹患しており,対象病変部位の血管の平均径は 2.75 mm,平均病変長は 13.4 mm であった.患者 1 人当り平均 1.08 個のステント(長さ 21.8 mm)が植込まれた.9 ヵ月後,虚血のため標的血管に血行再建を行った割合は,金属ステント植込み群の 12.0%に対し,パクリタキセル溶出ステント植込み群では 4.7%と低かった(相対リスク 0.39;95%信頼区間 0.26~0.59;P<0.001).標的病変部の血行再建が必要であったのは,パクリタキセル溶出ステント植込み群の 3.0%に対し,金属ステント植込み群では 11.3%であった(相対リスク 0.27;95%信頼区間 0.16~0.43;P<0.001).血管造影上での再狭窄率は,金属ステント群の 26.6%に対し,パクリタキセル溶出ステント群では 7.9%と低かった(相対リスク 0.30;95%信頼区間 0.19~0.46;P<0.001).パクリタキセル溶出ステント群と金属ステント群において,9 ヵ月後の心臓が原因の死亡あるいは心筋梗塞の発生率の複合(それぞれ 4.7%,4.3%)およびステント血栓症の発生率(それぞれ 0.6%,0.8%)は同等であった.

結 論

ポリマーベースの徐放性パクリタキセル溶出ステントは,金属ステントと比較して,安全で,9 ヵ月目の臨床的および血管造影上の再狭窄率を顕著に低下させた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 221 - 31. )