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June 3, 2004 Vol. 350 No. 23

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小児および青年における肥満と代謝症候群
Obesity and the Metabolic Syndrome in Children and Adolescents

R. Weiss and Others

背景

小児期の肥満の割合と程度は,著しく増加している.われわれは,小児と青年の大規模な多人種・多民族コホートを対象に,肥満の程度が代謝症候群の有病率に与える影響,代謝症候群とインスリン抵抗性の関係,代謝症候群と C 反応性蛋白濃度およびアディポネクチン濃度との関係について検討した.

方 法

肥満 439 例,過体重 31 例,肥満ではない 20 例の小児と青年に対し,標準的なブドウ糖負荷試験を行った.ベースライン時に,血圧,血漿中の脂質,C 反応性蛋白,アディポネクチンの濃度を測定した.トリグリセリド濃度,高比重リポ蛋白コレステロール濃度,血圧は,年齢と性別で調整した.体格指数は年齢によって変化するため,z スコア変換を用いて年齢と性別に対する数値を標準化した.

結 果

代謝症候群の有病率は,肥満の重症度に伴って上昇し,重度肥満の青少年では 50%に達した.z スコアに変換した体格指数の 1/2 単位ごとの増加は,過体重および肥満の被験者における代謝症候群のリスクの増大と関連していた(オッズ比 1.55;95%信頼区間 1.16~2.08).同様に,ホメオスタシス・モデルで評価した場合,インスリン抵抗性の 1 単位ごとの増加も,代謝症候群のリスクの増大と関連していた(インスリン抵抗性が 1 単位増加するごとのオッズ比 1.12;95%信頼区間 1.07~1.18).人種・民族および肥満の程度で調整後,代謝症候群の有病率は,インスリン抵抗性の上昇に伴って有意に上昇した(傾向性の P<0.001).肥満の重症度に伴い,C 反応性蛋白濃度は上昇し,アディポネクチン濃度は低下した.

結 論

代謝症候群の有病率は,肥満の小児と青年で高く,肥満の悪化に伴い上昇している.このような青少年では,有害な心血管系の転帰のリスクが上昇していることを示すバイオマーカーがすでに存在している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 2362 - 74. )