閉経後女性におけるエストロゲンとプロゲスチンの併用と大腸癌
Estrogen plus Progestin and Colorectal Cancer in Postmenopausal Women
R.T. Chlebowski and Others
閉経後女性におけるエストロゲンとプロゲスチンに関する女性健康イニシアチブ(Women's Health Initiative; WHI)試験では,ホルモン投与群の女性では利益よりも全般的な健康へのリスクのほうが大きいことが明らかになったが,その一方で,エストロゲン+プロゲスチンの使用は大腸癌のリスクの有意な減少と関連していた.われわれは,発生した大腸癌の特徴および参加者の特性との関連について分析を行った.
WHI 試験において,子宮を切除していない 50~79 歳の閉経後女性 16,608 例を,結合型ウマエストロゲン(0.625 mg/日)+酢酸メドロキシプロゲステロン(2.5 mg/日)の併用,またはプラセボ投与に無作為に割付けた.主要転帰評価項目は,大腸癌の発生,病期,型とし,集約的な盲検的判定によって決定した.
浸潤性大腸癌はホルモン群で 43 例,プラセボ群で 72 例認められた(ハザード比 0.56;95%信頼区間 0.38~0.81;P=0.003).ホルモン群における浸潤性大腸癌は,プラセボ群の大腸癌と組織学的特徴や悪性度は同程度であったが,より転移陽性リンパ節数が多く(平均±SD 3.2±4.1 対 0.8±1.7;P=0.002),より進行していた(限局性病変あるいは転移性病変 76.2% 対 48.5%;P=0.004).探索的分析において,腟出血が先行してみられたホルモン群の女性は,腟出血のなかったホルモン群の女性よりも大腸癌の転移陽性リンパ節数が多かった(3.8±4.3 対 0.7±1.5 個,P=0.006).
エストロゲン+プロゲスチンを比較的短期間使用することは,大腸癌のリスク減少と関連していた.しかし,エストロゲン+プロゲスチン投与を受けた女性の大腸癌は,プラセボ投与を受けた女性の大腸癌と比較して,より進行した時点で診断された.