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October 7, 2004 Vol. 351 No. 15

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慢性 B 型肝炎と進行した肝疾患を有する患者に対するラミブジン
Lamivudine for Patients with Chronic Hepatitis B and Advanced Liver Disease

Y.-F. Liaw and Others

背景

慢性 B 型肝炎と進行した肝線維症あるいは肝硬変を有する患者における,疾患の進行を抑制するための抗ウイルス療法の有効性は不明である.

方 法

肝硬変あるいは進行した肝線維症が組織学的に確認された慢性 B 型肝炎患者を,2:1 の割合で,最長 5 年間のラミブジン(100 mg/日)またはプラセボの投与に無作為に割付けた.651 例の患者のうち,436 例をラミブジン投与に,215 例をプラセボ投与に割付けた.主要エンドポイントは,非代償性肝硬変,肝細胞癌,特発性細菌性腹膜炎,出血性食道胃静脈瘤,肝疾患に関連した死亡の,いずれかが発生することと定義した疾患進行までの期間とした.独立データ・安全性モニタリング委員会が試験の進行を監視し,データの中間解析を行った.

結 果

651 例(アジア人 98%,男性 85%)を,ラミブジンあるいはプラセボの投与に無作為に割付けた.研究は,中央値で 32.4 ヵ月間(範囲 0~42 ヵ月)治療を行ったあと,エンドポイントに達した症例数に関して治療群間で有意差がみられたため終了した.ラミブジン群患者の 7.8%およびプラセボ群患者の 17.7%がエンドポイントに達した(疾患進行に対するハザード比 0.45;P=0.001).ラミブジン群患者の 3.4%,プラセボ群患者の 8.8%で Child-Pugh スコアが上昇し(ハザード比 0.45;P=0.02),一方,ラミブジン群患者の 3.9%,プラセボ群患者の 7.4%で肝細胞癌が発生した(ハザード比 0.49;P=0.047).遺伝子型耐性である YMDD 変異は,ラミブジンで治療を受けた患者の 49%で発生し,Child–Pugh スコアは,YMDD 変異をもつ患者において,変異をもたない患者よりも上昇する傾向があった(7% 対 <1%).全体として,ラミブジン群患者の 12%,プラセボ群患者の 18%で重篤な有害事象が報告された.

結 論

ラミブジンを用いた継続的な治療は,慢性 B 型肝炎と進行した肝線維症あるいは肝硬変を有する患者において,非代償性肝硬変の発生率と肝細胞癌のリスクを有意に減少させ,症状の進行を遅らせる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 1521 - 31. )