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October 14, 2004 Vol. 351 No. 16

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乳児心臓手術時の体外循環の初期充填における新鮮全血と再生血液の比較
Fresh Whole Blood versus Reconstituted Blood for Pump Priming in Heart Surgery in Infants

S.S. Mou and Others

背景

心肺バイパス術後に起る凝固障害や炎症反応を軽減するため,新生児や乳児の心臓手術では,多くの施設で新鮮全血の使用が標準処置になっている.心肺バイパス回路の初期充填に新鮮全血を使用した場合と,赤血球製剤と新鮮凍結血漿を組み合せて使用した場合(再生血液)とを比較した.

方 法

開心術を受けた 1 歳未満の小児を対象に,単一施設無作為二重盲検比較対照試験を行った.患児は,バイパス回路の初期充填として,術前 48 時間以内に採血された新鮮全血(96 例)または再生血液(104 例)のいずれかに割付けられた.臨床転帰と,全身炎症および心筋傷害に関する血清検査値を両群で比較した.

結 果

再生血液を受けた群は,新鮮全血を受けた群よりも集中治療室の滞在時間が短かった(70.5 時間 対 97.0 時間,P=0.04).再生血液を受けた群では,48 時間後の累積体液バランスも小さかった(-6.9 mL/kg 体重 対 28.8 mL/kg 体重,P=0.003).術後早期の胸腔チューブ排液量,血液製剤注入の必要性,血清中の炎症メディエーターと心筋トロポニン I の値は両群間で類似していた.

結 論

先天性心疾患の手術における心肺バイパスの初期充填として新鮮全血を使用することは,赤血球製剤と新鮮凍結血漿を組み合せて使用することに比べ優位ではない.さらに,新鮮全血での回路の初期充填は,集中治療室の滞在時間の延長や周術期の過剰な体液負荷と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 1635 - 44. )