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October 21, 2004 Vol. 351 No. 17

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青年と成人における結核性髄膜炎治療としてのデキサメタゾン
Dexamethasone for the Treatment of Tuberculous Meningitis in Adolescents and Adults

G.E. Thwaites and Others

背景

結核性髄膜炎に罹患した患者では,半数以上が死亡するか,障害が残る.先行研究は小規模であったため,結核性髄膜炎に罹患した成人において,副腎皮質ステロイドを用いた補助療法で障害や死亡のリスクを軽減できるかどうか実証できなかった.また,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)との重複感染が及ぼす影響も明らかにされていない.

方 法

デキサメタゾンによる補助療法によって,9 ヵ月の追跡期間後の死亡または重度障害のリスクが軽減するかどうかを明らかにするため,ベトナムで無作為二重盲検プラセボ対照試験を行った.対象は,HIV との重複感染の有無にかかわらず,14 歳を超えた結核性髄膜炎患者とした.あらかじめ規定したサブグループ解析と,intention-to-treat 解析を行った.

結 果

計 545 例を,デキサメタゾン(274 例)またはプラセボ(271 例)のいずれかの投与を受ける群に無作為に割付けた.治療開始から 9 ヵ月後に追跡不能となったのは,わずか 10 例(1.8%)であった.デキサメタゾン投与に関連して死亡リスクが低下した(相対リスク 0.69;95%信頼区間 0.52~0.92;P=0.01).デキサメタゾン投与は,重度の障害が残った患者の割合(デキサメタゾン群の生存者 187 例中 34 例 [18.2%] 対 プラセボ群の生存者 159 例中 22 例 [13.8%];P=0.27)や,死亡あるいは 9 ヵ月後に重度の障害が残った患者の割合(オッズ比 0.81;95%信頼区間 0.58~1.13;P=0.22)の有意な減少には関連していなかった.治療効果は,疾患重症度のグレードで定義したサブグループ(死亡の層化相対リスク 0.68;95%信頼区間 0.52~0.91;P=0.007)および HIV 感染状況で定義したサブグループ(死亡の層化相対リスク 0.78;95%信頼区間 0.59~1.04;P=0.08)で一致していた.デキサメタゾン群では,プラセボ群に比べ重篤な有害事象の発生数が有意に少なかった(274 例中 26 例 対 271 例中 45 例,P=0.02).

結 論

デキサメタゾンによる補助療法により,14 歳を超えた結核性髄膜炎患者の生存率は改善されるが,重度の障害は予防されない可能性が高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 1741 - 51. )