November 25, 2004 Vol. 351 No. 22
成人の急性白血病患者に対する非血縁ドナーからの臍帯血移植と骨髄移植
Transplants of Umbilical-Cord Blood or Bone Marrow from Unrelated Donors in Adults with Acute Leukemia
V. Rocha and Others
非血縁ドナーからの臍帯血移植が有望であるという結果が,成人で報告されている.
非血縁ドナーから造血幹細胞移植を受けた急性白血病の成人患者 682 例の転帰を比較した.うち 98 例が臍帯血移植,584 例が骨髄移植を受けた.移植は,1998~2002 年に実施され,ユーロコード(Eurocord)と欧州血液・骨髄移植グループ(European Blood and Marrow Transplant Group)に報告された.
臍帯血レシピエントは,骨髄レシピエントよりも年齢が低く(中央値 24.5 歳 対 32 歳,P<0.001),体重が少なく(中央値 58 kg 対 68 kg,P<0.001),移植の時点で疾患が進行した状態である割合が高かった(52% 対 33%,P<0.001).骨髄移植はすべて HLA 適合であったのに対し,臍帯血移植では 94%が HLA 不適合であった(P<0.001).移植された有核細胞数の中央値は,レシピエントの体重 1 kg 当り,臍帯血移植では 0.23×108 個,骨髄移植では 2.9×108 個であった(P<0.001).多変量解析では,臍帯血移植後は,グレード II,III,IV の急性移植片対宿主病(GVHD)のリスクが低かったが(相対リスク 0.57,95%信頼区間 0.37~0.87,P=0.01),好中球の回復は有意に遅延した(相対リスク 0.49,95%信頼区間 0.41~0.58,P<0.001).慢性 GVHD の発生率,移植関連死亡率,再発率,無白血病生存率については,両群で有意差はみられなかった.
非血縁ドナーの臍帯血は,HLA が適合した骨髄ドナーのいない急性白血病の成人患者にとって,造血幹細胞の代替的な供給源となる.