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December 9, 2004 Vol. 351 No. 24

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急性心筋梗塞後の植込み型除細動器の予防的使用
Prophylactic Use of an Implantable Cardioverter-Defibrillator after Acute Myocardial Infarction

S.H. Hohnloser and Others

背景

植込み型除細動器(ICD)治療により,さまざまな心疾患を有する心室性不整脈のリスクが高い患者において,生存率が向上することが示されている.この方法が,心筋梗塞を起して間もない患者においても有益であるかどうかは明らかにされていない.

方 法

急性心筋梗塞における除細動器試験(Defibrillator in Acute Myocardial Infarction Trial)を実施し,心筋梗塞後 6~40 日に ICD 治療を実施する群(332 例)と実施しない群(342 例)を無作為非盲検で比較した.左室機能低下(左室駆出率 0.35 以下)と心臓自律神経機能の障害(心拍数変動の低下またはホルター心電図における 24 時間の平均心拍数の上昇として現れる)が認められる患者を組み入れた.主要転帰は全死因死亡とした.不整脈による死亡は,あらかじめ副次的転帰と定義した.

結 果

平均(±SD)30±13 ヵ月の追跡期間中,両群で全死亡率に差は認められなかった.死亡した患者 120 例のうち,62 例が ICD 群,58 例が対照群であった(ICD 群における死亡のハザード比 1.08,95%信頼区間 0.76~1.55,P=0.66).不整脈による死亡は,ICD 群で 12 例であったのに対し,対照群では 29 例であった(ICD 群のハザード比 0.42,95%信頼区間 0.22~0.83,P=0.009).一方,不整脈以外の原因による死亡は,ICD 群で 50 例,対照群で 29 例であった(ICD 群のハザード比 1.75,95%信頼区間 1.11~2.76,P=0.02).

結 論

心筋梗塞を起して間もない高リスク患者では,予防的な ICD 治療により全死亡率が低下することはない.ICD 治療は,不整脈による死亡率の低下と関連していたが,これは不整脈以外の原因による死亡率の上昇で相殺された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 2481 - 88. )