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December 16, 2004 Vol. 351 No. 25

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帝王切開既往後の試験分娩に関連する母体および周産期の転帰
Maternal and Perinatal Outcomes Associated with a Trial of Labor after Prior Cesarean Delivery

M.B. Landon and Others

背景

帝王切開の既往後に経腟分娩を試みる女性の割合は,主として安全性に対する懸念から減少している.帝王切開の既往がある女性において,陣痛発来前の選択的反復帝王切開と比較した,試験分娩の絶対リスクと相対リスクは明らかではない.

方 法

19 ヵ所の大学病院で,単胎妊娠で帝王切開の既往がある女性全員を対象に,4 年間の前向き観察研究を行った.試験分娩を行った女性と陣痛発来前の選択的反復帝王切開を受けた女性のあいだで,母体および周産期の転帰を比較した.

結 果

17,898 例の女性で経腟分娩が試みられ,15,801 例の女性が陣痛発来前の選択的反復帝王切開を受けた.試験分娩を行った女性のうち 124 例(0.7%)に症候性の子宮破裂が起った.低酸素性虚血性脳症は,選択的反復帝王切開を受けた母親の乳児では発症しなかったが,満期産で試験分娩を行った母親の乳児では 12 例で発症した(P<0.001).低酸素性虚血性脳症を発症した 12 例のうち,7 例は子宮破裂後に発症し(絶対リスク,試験分娩を行った満期産の女性 1,000 人当り 0.46 人),そのうち 2 例の新生児が死亡した.試験分娩を行った女性では,選択的反復帝王切開を受けた女性よりも子宮内膜炎の発生率が高く(2.9% 対 1.8%),輸血率も高かった(1.7% 対 1.0%).子宮摘出率と母親の死亡率については,両群で有意差は認められなかった(それぞれ 0.2% 対 0.3%,0.02% 対 0.04%).

結 論

帝王切開既往後の試験分娩は,絶対リスクは低いとはいえ,陣痛発来前の選択的反復帝王切開よりも周産期のリスクが高い.この知見は,帝王切開後の選択肢について女性に助言を行うさいに必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 2581 - 9. )