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July 22, 2004 Vol. 351 No. 4

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急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群患者に行う機械的人工呼吸における呼気終末陽圧の高低の比較
Mechanical Ventilation with Higher versus Lower Positive End-Expiratory Pressures in Patients with Acute Lung Injury and the Acute Respiratory Distress Syndrome

The National Heart, Lung, and Blood Institute

背景

急性肺損傷や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で機械的人工呼吸を必要とする患者の大部分では,5~12 cm H2O の呼気終末陽圧(PEEP)がかけられている.PEEP レベルを高くすると,酸素化が改善し,人工呼吸器に起因する肺損傷が減少する可能性があるが,循環機能が低下し,肺が過膨脹して損傷する可能性もある.PEEP レベルの高低がこれらの患者の臨床転帰に及ぼす影響を比較することを目的として,試験を実施した.

方 法

急性肺損傷・ARDS 患者 549 例を,機械的人工呼吸でかける PEEP レベルの,高い群と低い群に無作為に割付けた.PEEP レベルは,PEEP と吸入酸素濃度の規定の組み合せ表に従って設定した.

結 果

1~ 4 日目の平均(±SD)PEEP 値は,低 PEEP 群で 8.3±3.2 cm H2O,高 PEEP 群で 13.2±3.5 cm H2O であった(P<0.001).退院前の死亡率は,それぞれ 24.9%,27.5%であった(P=0.48;群間差に対する 95%信頼区間 -10.0~4.7%).1~28 日目で呼吸が補助されていなかった期間は,低 PEEP 群で平均 14.5±10.4 日,高 PEEP 群で平均 13.8±10.6 日であった(P=0.50).

結 論

この結果から,一回換気量の目標値を 6 mL/kg [予測体重],吸気終末プラトー圧の限度を 30 cm H2O とした機械的人工呼吸を受けている急性肺損傷・ARDS 患者では,用いる PEEP レベルの高低にかかわらず,臨床転帰は類似することが示唆される.

(ARDS Clinical Trials Network)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 327 - 36. )