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August 5, 2004 Vol. 351 No. 6

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薬剤抵抗性急性リンパ芽球性白血病細胞の遺伝子発現パターンと治療への反応
Gene-Expression Patterns in Drug-Resistant Acute Lymphoblastic Leukemia Cells and Response to Treatment

A. Holleman and Others

背景

小児の急性リンパ芽球性白血病(ALL)は,患児の約 80%で化学療法による治癒が可能である.しかし,残り 20%で治療が失敗する原因はほとんどわかっていない.

方 法

患児 173 例から白血病細胞を採取し,プレドニゾロン,ビンクリスチン,アスパラギナーゼ,ダウノルビシンに対する感受性を in vitro で検討した.次に,14,500 のプローブセットを用いて細胞の遺伝子発現を評価し,薬剤感受性 ALL および薬剤抵抗性 ALL において発現の異なる遺伝子を同定した.4 種の薬剤に対する感受性または抵抗性によって異なる遺伝子発現パターンを,本研究の患児 173 例の治療転帰ならびに他の施設で同じ薬剤による治療を受けた患児 98 例の独立したコホートにおける治療転帰と対照させた.

結 果

発現パターンが異なる遺伝子群を,プレドニゾロン(33 遺伝子),ビンクリスチン(40 遺伝子),アスパラギナーゼ(35 遺伝子),ダウノルビシン(20 遺伝子)に感受性または抵抗性を示した B 細胞系 ALL で同定した.多変量解析において,4 種類の薬剤に対する抵抗性に関する遺伝子発現の複合スコアは,4 種類の薬剤に対する感受性に比べて,治療転帰に有意に独立して関連していた(再発のハザード比 3.0;P=0.027).結果は,同じ薬剤による治療を受けた患児の独立した集団で確認された(再発のハザード比 11.85;P=0.019).同定された 124 遺伝子のうち,121 遺伝子は,調査した 4 種類の薬剤に対する抵抗性とはこれまで関連付けられていなかった.

結 論

比較的少数の遺伝子の発現にみられる差異が,小児 ALL における薬剤抵抗性および治療転帰に関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 533 - 42. )