The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 12, 2004 Vol. 351 No. 7

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

パブリック・アクセス除細動と院外心停止後の生存
Public-Access Defibrillation and Survival after Out-of-Hospital Cardiac Arrest

The Public Access Defibrillation Trial Investigators

背景

院外心停止後の生存率は低い.一般市民が自動体外式除細動器(AED)を用いて除細動を試みる訓練を受けた場合に,院外心停止後の生存率が上昇するかどうかは明らかではない.

方 法

地域ベースの前向き多施設共同臨床試験を実施し,社会集団(ショッピングモールや団地など)を単位として,組織化され監視下に置かれた 2 種類の緊急対応体制に無作為に割付けた.緊急対応体制には,心肺蘇生法(CPR)のみの訓練を受けた一般市民ボランティアと,CPR に加え AED 使用の訓練を受けた一般市民ボランティアが加わった.主要転帰は生存して退院することとした.

結 果

北米 24 地域の地域施設 993 ヵ所から,ボランティアによる対応者 19,000 人以上が参加した.2 つの試験群で,施設やボランティアの特性は同等であった.院外心停止の治療を受けた患者の年齢(平均 69.8 歳),男性比率(67%),公共の場所での心停止発生率(70%),目撃者のある心停止の比率(72%)は,両群で同等であった.不適切な処置が行われることはなかった.CPR に加えて AED 使用の訓練を受けたボランティアが割付けられた施設(心停止 128 例中生存 30 例)では,CPR の訓練のみを受けたボランティアが割付けられた施設(107 例中 15 例;P=0.03;相対リスク 2.0;95%信頼区間 1.07~3.77)よりも,生存して退院した患者が多かった.居住施設で心停止を起し生存した者はわずか 2 例であった.両群間で退院時の機能状態に差はなかった.

結 論

ボランティアに,組織的な対応体制のもとで早期除細動を試みる訓練を施し,技能を身に付けさせることによって,公共の場における院外心停止後に生存して退院する患者の数をふやすことが可能である.訓練を受けた一般市民は,安全かつ効果的に AED を使用することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 637 - 46. )