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September 2, 2004 Vol. 351 No. 10

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視床下部性無月経の女性における遺伝子組換え型ヒトレプチン
Recombinant Human Leptin in Women with Hypothalamic Amenorrhea

C.K. Welt and Others

背景

エネルギー不足が原因で起る視床下部–生殖腺系およびその他内分泌系の障害は,脂肪細胞分泌ホルモンであるレプチンの濃度が低いことと関連しており,視床下部性無月経を引き起す可能性がある.われわれは,外因性の遺伝子組換え型レプチン補充療法により,視床下部性無月経の女性の生殖機能と神経内分泌機能が改善するという仮説を立てた.

方 法

激しい運動または低体重による視床下部性無月経の女性 8 例について,遺伝子組換え型ヒトレプチン投与を受ける前の 1 ヵ月間と,その後最長で 3 ヵ月の治療期間に検討を行った.視床下部性無月経の対照被験者 6 例には治療を行わず,平均(±SD)8.5±8.1 ヵ月間検討を行った.

結 果

黄体形成ホルモン(LH)濃度の周期変動,体重,卵巣に関する指標,ホルモン濃度は,対照被験者では長期間にわたり有意な変化はみられず,遺伝子組換え型レプチン療法を受けた被験者においても,治療前の 1 ヵ月の対照期間中に有意な変化はみられなかった.一方,遺伝子組換え型レプチン療法により,2 週間後に LH 濃度の平均値と LH 濃度の上昇頻度が増加し,3 ヵ月のあいだ,卵胞の最大直径,優勢卵胞数,卵巣の容積,エストラジオール濃度が増加した.患者 3 例で,排卵性月経周期が認められ(自然排卵率の期待値 10%との比較に対する P<0.05),ほかの 2 例で,治療期間中に排卵前の卵胞発達と消退出血が認められた(P<0.05).遺伝子組換え型レプチンによって,遊離トリヨードチロニン,遊離チロキシン,インスリン様成長因子 1,インスリン様成長因子‐結合蛋白 3,骨アルカリホスファターゼ,オステオカルシンの濃度が上昇したが,コルチゾール,コルチコトロピンおよび尿中の N-テロペプチドの濃度は上昇しなかった.

結 論

レプチンが相対的に欠乏した視床下部性無月経の女性にレプチンを投与すると,生殖系,甲状腺系,成長ホルモン系,骨形成マーカーが改善すると考えられる.このことは,エネルギーが十分に蓄えられたことを示す末梢シグナルのレプチンが,正常な生殖機能と神経内分泌機能に必要であることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 987 - 97. )